庭造り

鎌倉市梶原山の庭 竣工   平成27年2月12日

 先週かかり始めた鎌倉市Hさんの新築家屋の造園工事が本日、駐車場の仕上げを残してほぼ完成しました。
 建築設計施工は、おなじみの北村建築工房です。
 2台分の駐車スペースを除くと外空間面積はわずかですが、それでも植栽配置を工夫することで、狭いながらも圧倒的な緑に包まれた
住まいとなるのです。

 駐車場際に薪小屋を設け、木々の合間の景色のポイントとします。使い勝手の良さと景観の両立こそ、造園配置の醍醐味といえるかもしれません。

 薪小屋の背面の細い路地空間。わずかな面積の庭の中に、様々な表情を作り出します。

 東側の狭い空間は、窓配置に応じた植栽を常に心がけます。1階窓、2階窓、木々越しの景色を美しく潤い豊かに構成してゆくことで、住まいに居ながら自然を感じ、落ち着きのあるゆったりとした日常を作り出す、心地よい住まいの庭はその家屋に沿って作っていきます。決して庭だけでは完成せず、同時に家だけでは決して心地よい住まいは生まれません。
 植栽は建築作品を引き立てるための単なるデコレーションではありません。住まいの環境、快適な住まい、そのための植栽、住む人の長年の心地よさを作り出すのが造園や建築であるという責任を、我々住まいの作り手は常に真剣に意識しなければなりません。そのことが建築や造園世界の常識となれば、日本の住まいはもっとよくなってゆくように思います。

 同じく、狭い西側空間も、一階、2階双方の窓配置を中心に植栽します。西側の窓際植栽は、住まいの微気候環境に大きな効果をもたらします。

 玄関アプローチは、型枠を用いずにハンドメイドに柔らかく仕上げます。地表の水の動きを極力妨げないように、園路を接続せずにところどころ目地幅を空けることによって地表環境の健全化に配慮します。

 デッキに落ちる隣家生垣の木漏れ日。隣家の高生垣がここでは西日を緩和するとても大きな役割を果たしてくれます。造園はその場所の環境条件を取り込みながら、その場所に応じて最善の住まいを作り上げていきます。

 新築の家と庭、これからこの地でHさん家族の暮らしが始まります。
 私にとって庭の完成は、その地の環境つくりのほんのスタートでしかありません。これから木々が育ち、そこに住む家族や街の中でそれぞれの心を育みながら、景観が風景となり、そして風土へと育ってゆくことを願いつつ、日々庭を作り続けております。
 ここで始まるHさん家族の新たな暮らしと共に、庭の木々が寄り添い共に年月を重ねてゆきます。
 関係者の皆様、そして好きにつくらせていただきましたお施主のHさま、どうもありがとうございました。

株式会社高田造園設計事務所様

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