山の補植作業 平成27年2月15日
千葉市内の荒れた山林を取得し、整備を進めておりますダーチャ用地に、樹木畑で育成したクヌギなどの木々を補植しました。
山林の補植は単なる景観つくりではなく、自然環境が自律的に再生されていき、それが風土の環境再生へと繋がる形で成されることが重要です。また、目に見える地上の部分だけでなく、根本的に大切な部分である、土中の環境再生をも視野に含めて施工していかねばなりません。
新たに植栽した木々が、その土地の健全な森の構成要素として、大地の環境の一翼を担う形で溶け込んでゆくこと、そのための配慮や、その土地の自然が持つ働きや力を活かしながら手を施してゆくことこそが、問題となっている荒れた里山を、未来を支える命の財産として繋いでゆくための大きなカギとなる、そんな想いで補植作業に臨んでいます。
山林の要所要所に効果的な補植場所を定めて、そこに枝葉の土留めを施していきます。
比較的、急な傾斜地での補植のため、その後の健全な土中水脈の再生や、地滑りが起こらない環境つくりに配慮しながらの作業です。
土留め柵に用いる枝葉はもちろん、山林内から集めます。一つ一つの作業によって、山もきれいに片付いていきます。
土留め枝柵の内側に、補植樹木を植え付けていきます。
盛土した分、補充する土も他から搬入するのではなく、斜面山側を溝状に掘り下げて、その土を根鉢にかぶせて盛土していきます。
この際にできる、斜面山側の深い横溝が、土地改変に伴う土中水脈の健全化に繋がるのです。
そして、斜面際を掘り下げたの横溝に、枝葉や木炭を漉き込んでいきます。これが大地の呼吸孔として機能し、樹木の根を誘導し、土中深い位置まで豊かな生物環境を作り上げてゆくことに繋がるのです。
斜面補植完了後。盛土部分も、周辺から集めた枝葉をかぶせてマルチして仕上げます。構造上、すぐに土中水脈再生が始まり、決して地滑りや斜面崩壊など起こらないうえ、永続的かつ自律的に大地の環境が再生されてゆくのです。
補植樹木はどんぐりから育てた木々たち、盛土の土は現地での発生土、そして水脈暗渠資材もマルチ材もすべて、この山林での採取によるもので、外から持ち込んだものなく、一銭たりとも材料費を投じることなく、大地が再生されてゆくのです。
かつての人の営みが自然環境共生型、再生型の形であったがゆえに、今の我々の命が支えられてきたという事実をもう一度きちんと認識し、その上で、これからの未来へ続く社会の在り方、環境共生の在り方を、今こそ問い直すべき時期にある、そんな想いが日に日に強まります。