お知らせ

2019年12月24日、環境・気候非常事態宣言のお知らせ。

 大変ご無沙汰しております。高田造園設計事務所代表取締役の高田です。

今年の秋、当社本拠地である千葉県では、度重なる台風、豪雨による大きな被害がございました。
当社も家族も被災しておりますが、この秋は、当社として災害地救援や、被災地の復旧、そして災害地環境調査に尽力してまいりました。

 水害土砂災害被災地とその真因を環境面から調査する中、もはや一刻の猶予もない、環境の問題の予想以上の深刻さを知り、緊急講演会や様々な書籍雑誌への寄稿、インタビューを通して、災害広域化の大きな要因となる環境劣化の問題と対策について、様々発信してまいりました。

そのため、様々な通常業務に支障をきたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

しかしながら、今はまさに非常事態であり、今後ますます大災害や想定外の気象自体が深刻化することでしょう。我々文明社会の存続の危機は増すばかりという現実に、あと数年もすればもはやだれもが気づくことではないでしょうか。

今、世界各国合わせて11000人を超える科学者が、気候非常事態を宣言しております。そして世界各国の自治体や国もまた、気候非常事態宣言を発しており、その住民総数はすでに2億人を超えております。

 これまでの災害規模を更新する被害に見舞われた被災地において環境の再生を専門としてきた当社として、この度、環境・気候非常事態を宣言し、行動計画を発表するに至りました。

宣言文は、代表取締役の高田宏臣が提起し、昨日(2019年12月23日)取締役会にて全員一致で可決、本日(2019年12月24日)、社員総会にて、全員一致で承認されました。

以下に、宣言文を公表させていただきます。3500字の長い宣言文となってしまいましたが、お目通しいただき、こうした動きが正しい方向で広がってゆくことを願います。

環境・気候非常事態宣言

 

株式会社 高田造園設計事務所

 

 

 現代文明の活動が主な要因となって地球環境は劣化し、生態系の健全な循環はもはや不可逆的に失われつつある。

 

 地球環境は無限というべき複雑な秩序(一般的にシステムという)によって成り立っている。人間を含む地球生態系のシステムが「臨界点」を超えると、もはや地球全体が後戻りできなくなり、地球上のほとんどが居住不可能となる可能性が指摘されている。

「臨界点」という概念は、気候変動に関する政府間パネルによって20年前に導入されたが、今まさに地球環境は臨界点が迫っているか、あるいはすでに超えた可能性があることを、世界中の気候科学者たちが警鐘を鳴らしている。

国連の最新の報告においても、600人の専門家による3年間の検証の末、「気候変動と環境破壊は予想以上に加速しており、臨界点に近づいている」と警告している。

 

 これまでの人類文明の歴史においても、文明活動によって地域的な気候を大きく変えてしまい、不毛の地と化してしまったことが文明滅亡の大きな要因となった事例はいくつも示されてきた。

近年においても、豊かな地域環境を破壊してしまった一例として、自給率100パーセントの恵み豊かな国土を有していたアフガニスタンが、戦争の末に短期間で不毛の砂漠が拡大し、地域的な気候まで変貌したことがあげられる。

こうした事実は、自制なき文明活動の行使によって、人間含む生命の母体である自然環境の循環と安定が、今や短期間に壊されてしまうということを、現実的に明示している。

また同時に、人類の文明活動を支えてきた従来の思考の在り方や視点、黙認されてきた行動の理由の延長線上には、もはや持続的な文明の存続はないことをも示唆する。

機械力も技術力も大きく進歩を続けて歯止めのない現代、人間社会としての意思と行動そのものが、以前とは比較にならない規模と速度で環境の循環システムを不可逆的に破壊し続けている

それは、地域的な人類・社会存亡の危機にとどまらず、地球全体の「文明の存亡の危機」という科学者たちの指摘もまた、現実的なものとして広く支持されつつある。

 

こうした地球規模の危機的な状況の中、201612月のオーストラリアの地方都市であるデアビン市が「気候非常事態」を宣言して以降、その動きは世界中に拡大し続けている。

デビアン市の宣言から三年後の今(201912月現在)、世界中で1,100以上(201910月時点)の国や自治体、大学等が非常事態を宣言している。

今や、気候非常事態宣言下の住民総数は世界中で2億人を超え、この動きは今後数年間のうちに加速度的に広がると考えられる。

 日本においても、20199月に長崎県壱岐市が気候非常事態宣言を決議したのち、3か月という短期間の間に、神奈川県鎌倉市、長野県白馬村、長野県、福岡県大木町、大阪府堺市、鳥取県北栄町と、7自治体が宣言を決議するに至った。(20191220日時点)

また、民間組織では、千葉商科大学が、激化する気候変動に対する緊急メッセージを発出している(201911月)

 

 日本において、こうした急速な動きは、2019年秋以降のことである。

それは、20199月以降、連続して東日本に上陸した台風15号、19号、21号に伴う、想定を超える大規模かつ広域な水害土砂崩壊等の自然災害によって加速されたと思われる。

 

高田造園設計事務所では、主に2008年以降、水害や土砂災害の発生した流域環境や、高木枯れに象徴される森林の崩壊地などの環境調査を独自に続けてきた。

 また、20199月以降、度重なる台風・豪雨の度に、当社も周辺地域も多く被災している。

その中で、県内地域の復旧対応にも会社を挙げて取り組んできたと同時に、風倒木の激甚被害地、水害発生地、氾濫河川の流域環境、土砂崩壊地等において、主に周辺環境・土中環境の健全性という面から調査を続け、環境の現状や、災害発生を多発させる真因についての周知のために尽力してきた。

 

 自然環境の健全化なくして、地域や国土の安全も安定も豊かな生産性の持続もなく、そしてさらには人類文明の持続もありえない。

 今の危機的な地球環境問題に、世界中で頻発する大規模災害に際して、その原因として、温暖化に伴う気候変動ばかりが注目され、残存する森林や河川などが持つ環境機能の著しい劣化については、あまり議論されていない。

環境保全機能の発揮が期待される森林については、伐採や開発による森林面積の減少ばかりが問題なのではなく、森林の分断や、小面積の点状あるいは線上の無秩序な開発が今や、周辺広範囲において潜在的な環境機能を、水面下で著しく損じていることに視点を向け、対策する必要性を提起する。

山林が残されても、その貯水機能、地形安定機能、生態系育成機能、水源涵養機能といった、山林・大地の質(ポテンシャル)は今、世界的に劣化し、日本においてもそれはここ数年、目に見えて加速している。

 

 世界的に議論の中心となる、文明活動によるCO²排出量のオフセットは重要な課題であるが、「再生可能エネルギー推進」という名目によって行われ、それによって引き起こされる地域環境の著しい劣化を伴う現状について、早急に周知し、万物生存と持続の母体である自然環境を壊さぬ形での再生可能エネルギー推進の在り方を模索する必要がある。

山地でのメガソーラー発電所建設のように、森林を伐採し、山を削り谷を埋めて大規模に造成されてしまえばもはや、その土地の環境のポテンシャルは1000年たっても再生されない。未来の環境を永遠に奪うこうしたやり方は、早急に見直される必要があると考える。

 環境の要というべき尾根筋も岩場も谷筋も問わず、一律で広範囲の皆伐を伴うバイオマス発電の燃料供給の在り方など、地球規模の気候変動の時代において、なお一層の問題となる。

 現代文明を支えるインフラ整備における工法もまた、根本的に自然環境に相反して永続せず、より破壊的に周辺環境を傷めているという現実について、市民、専門家双方への周知と、工法の改善を促す必要がある。

 

 2019年秋、当社拠点の在する千葉県における台風及び豪雨による水害土砂災害、風倒木被害地の環境調査を通して、土壌を含む自然環境の劣化は予想を超えて進んでいる現実を目の当たりにするにおよび、ここに環境・気候非常事態宣言するとともに、以下に今後の会社としての活動方針を公表します。

(*ここに、「気候」非常事態ではなく、あえて「環境・気候」非常事態という)

 

1.環境再生や造園における業務で発生するすべての有機物は大地の循環へと還元する。また、解体廃材などのすべての無機物も、環境再生のための資材として再生利用する。そして、こうした造園建設土木の在り方を啓蒙普及に努める。

2.当社の役割は、大地・環境の健全な機能の再生を主とし、クライアントや関係者への環境非常事態の啓蒙に努める。また、環境の再生・健全化を伴わない造園土木建築の工法は行わない。

3.当社で行う土木造作建築造園造作において必ず、環境のポテンシャルが自律的に改善、再生される工法にて行い、こうした工法の啓蒙普及に努める。

4.造園業務においては、生態系として育ってゆく環境ベースの再生や改善に徹し、植樹と土中環境健全化を主とし、そしてその後、木々が自律的に健全に育つ環境育成に努める。また、その手法と視点の啓蒙普及に努める。

5.一般的な標準仕様として行われる現代土木建設等、インフラ整備の工法について問題と改善点を研究、指摘し、周辺環境再生に導く工法の開発をサポートする。また、その工法指導、啓蒙、普及に努め、標準的な工法へと確立されるよう尽力する。

6.環境調査、災害地調査、環境改善指導業務を継続し、身近な環境において急速な劣化の現実を伝え、改善のための道筋を示すことに努める。

7.文明の持続と安心して生きられる地域環境と共生してきた先人の智慧に学び、その視点を深め、伝えてゆく。そして未来へと持続する良好な自然環境を育み、再生し、その手法と視点を広め伝えてゆく。

8.気候危機への適応という観点で、今後の大規模災害に備え、迅速な被災地救援活動体制を整備する。

9.特定非営利活動法人地球守等の活動と連携し、広域災害等によって文明の機能が停止した際、当社所有の施設を開放し周辺住民の避難所とする体制を整備し、周知に努める。また、非常時の生存の源である清冽な湧水を保ち、その大切さの周知に努める。

10.  今後の危機に際し、その緩和のために環境再生活動に尽力し、持続可能な文明の在り方の見直しと再構築のために、各行政機関、関係諸団体との連携を模索し、多くの国民市民とともに広げてゆく。

 

以上、宣言する。

 

 

 

令和元年(2019年)1223

 

株式会社 高田造園設計事務所

代表取締役 高田宏臣

 

 

 

 

株式会社高田造園設計事務所様

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