佐渡島のユリに 平成25年6月16日
梅雨空の雨に打たれながら、昨年の秋に訪ねた佐渡島で入手したユリの花が、露に濡れつつ次々に咲いています。
8か月前、紅葉の美しい頃でした。あの時も雨の中。
トキ保護センターで12個の球根を入手し、そしてそのすべてが今になって次々に、色とりどりの花を咲かせてくれています。
一人、過ぎた日々の思い出と共に、この花を見つめます。
ユリって、こんなに美しいんだ、今更ながら、鮮やかな花に心打たれます。
今年も、すでに後半となりました。
月日は矢のように過ぎ去っていき、そして後戻りする術は誰にもありません。
4日間も降り続く雨、仕事は山のように積み重なっているというのに進まない焦り。
今朝、手入れに廻る予定だった、老夫妻Tさんに、作業順延のお電話をします。
「Tさんおはようございます。すいません。この雨なので、手入れはまた延期させていただけますでしょうか。」
Tさんは、電話口からもその笑顔のぬくもりが伝わるほどの温かな口調で、応えてくれます。
「この雨じゃ仕方ないですね。高田さんも仕事が進まなくて大変でしょう。都合のよい時でいいので、また連絡くださいね。
高田さん、体調はどうですか。」
Tさんの温かな心配りに、胸がぐっと詰まります。
Tさんの方こそ、私よりもよほど体を悪くしているというのに・・・。
「ありがとうございます。体調、そうですね、、ぼちぼちというか、、、でもお陰様で以前よりはだいぶ良くなりました。
ただ、仕事が溜まって、お客さんに申し訳なくて、正直ちょっと今は、弱気になってしまいますね。」
10年来、親しくお付き合いさせていただいたTさんにだから、こんなことも話せる。
「無理しないでくださいね。体には敵いませんから。しっかり休んでくださいね。」
「ありがとうございます。Tさんこそお体労わってくださいね。」
心から、そんな言葉があふれ出る。
人はいつも一期一会、そしていつも、その一瞬のひと時を共有するのでしょう。そう考えると、一時も粗末にはできないという、真実に、切なくなる時が、きっと誰にもあることでしょう。
人は年を経るにつれて、その瞬間を生きていることのはなかさや、かけがえのなさを、より深く知るのでしょう。
Tさんの方こそ、大変なのに、私の体調まで心配してくれるという、なんというありがたさ。
時は流れて、そして8か月前に植えつけたユリの花が今、咲き始めました。