うれしいお便り 平成22年9月16日
工事中の神奈川県小田原市の出張から本日帰ると、数ヶ月前にお庭をつくらせていただいた、埼玉県飯能市のお施主Sさんから、地元の葡萄が届いておりました。
お客様からこうして御心遣いを頂くことは、大変恐縮でありながら、本当に頭が下がることです。
そして、葡萄の箱には、庭の近況報告のお手紙と、庭の写真が同封されておりました。
お手紙には、お庭ができる前と後とで、生活がどのように変わったかということ、庭の木々がもらたしてくれる日々の豊かさ、そんなことを綴って下さいました。
ありがたく、本当にありがたく、私たちがこの仕事に誇りと生きがいを感じることができるのは、こうしたお客様方々のおかげだと、改めて思いました。
家も庭も、そこに住まれる方の生涯の心模様まで左右するという、人生の中のとても大きな役割を担っています。
それだけに、依頼いただいて庭を造らせていただくとき、私たちはいつも決して妥協せず、その顧客にとって最善を尽くすことに努めます。
私たちのこうした姿勢の根底にはいつも、依頼いただいた顧客に対する感謝の気持ちと、人として私たちにお気遣いをして下さることに対する尊敬の思いがあります。
そして、私たちのその思いや姿勢をこうして理解して下さるお客様に恵まれて、本当に本当に幸せに感じます。
「家の中にいても、外で風が動く様子、見えなくても西日が沈んてゆく様子が木を通して分かり、やっと家も人もいきいきと呼吸できるなあ、といった感じでした。植栽の力はすごいですね。
こんな素敵な環境の中にいられるのも、高田さんはじめ、熱心な職人さん方のおかげです。皆さんの仕事をしている姿を見て、『今の時代にこんなに無心に仕事をされる人がいるんだなあ』と、日々心が洗われるよでした。少なからず、私も仕事をする時、皆さんを見習いたいものだと、それまでよりもっと無心に取り組んでいるつもりです。
これから長い時間をかけて、庭も家族も家も育っていけることに感謝します。」
Sさんは手紙の一節でそんなことを書いてくださいました。こうしたSさんの御心遣いに対して、「頭が下がる」ということはこういうことだと、改めて感じるのです。
頭を下げるのではなく、人は人の人格や御心遣いに感動して感謝して、そして自然と心は厳粛に、頭が下がるもののようです。
庭を造らせていただき、その庭が良かったかどうかはその後のお施主様ご家族の暮らしや心模様が決めることだと思います。
作品としてどんなに評価される庭を造っても、それはそれであって、私たちの目指す庭は、今はそんなところにはありません。
自分たちの庭つくりの方向は、お客様方々の御心が育ててくれます。本当にありがたく、仕事が本当の意味で報われる瞬間です。
Sさんが送ってくれた、庭の写真です。植栽したばかりの庭が、猛烈な暑さを乗り越えて青々と成長を遂げている庭、その背景にはsさんご夫妻の毎日の水やりなど、大変な努力が想像できます。
造らせていただいた庭をこうして大切に育てていただく幸せ、いくら感謝してもしきれません。
お客様とはいつも一期一会の出会いです。そこには「業者とお客」、という関係を超えた、人と人とのご縁があり、誠意を尽くして庭つくりに向き合う中で、お互いの人生が豊かになっていきます。
この幸せ、この喜びを、私は若い弟子たちにも伝えていくようにしています。
心で造るのが庭であり、そして、庭を通して人を尊敬し、そして人の幸せを願うということ、つくづく造園の仕事にかかわることに幸せを実感いたしました。