千葉県柏市の庭 改修工事 平成23年9月16日
入母屋家屋をリフォームされた千葉県柏市Mさんの造園工事、1年近くお待ちいただいての着工となりました。
工事にかかり始めて今日で4日目です。先ずは既存の庭の解体から始まりました。
千葉県内に普通に見られた入母屋造りのしっかりした家屋も、最近は次々と姿を消して、新たにつくられることはほとんどありません。
Mさんは2年前、この入母屋家屋を暮らしやすいようにリフォームされました。
かつての立派な家屋の素材や構造の良さや外観の良さを活かして、内装や部屋の間取り、建具などを中心に、今の暮らしに使いやすいようにリフォームして住み繋ぐこと、それは日本の住まいのあり方として、今後ますます大切なものとなることでしょう。
歴史と文化を活かした住まい、土地への愛着といったものが、こうしたことから始まります。
数年前、ロシアサンクトペテルブルグ市を訪ねた際、建物の外観を変えずにリフォームしながら何百年も住み繋ぐという街の暮らしの在り方を思い出しました。
街の風景と記憶を繋いでゆく中でこそ、その土地の文化的な暮らしや、郷土に対する誇りや愛も育まれます。
建てては壊し、そしてまた建てるという、日本の異常な住宅や街の在り方を見直すべき時期に来ている気がします。
長年この地に根ざしてこられたMさんの広大な庭を解体して、空間を掘りだしていきます。
既存の樹木や石は極力再生して使っていきます。
処分してしまうのは簡単なことですが、もともとそこにあったものを使い繋ぎつつ、全く新たな空間をつくりだすことが、改修の際に私たちが心掛けるべき大切なことだと思います。
広い庭に散らばっていた巨石を一か所にまとめて石組みし、庭の重心の景を整えていきます。
1石で2tから3tもある巨石を組んで、水鉢を中心とした景色にまとめます。存在感のある石組みですが、広い庭ではこのくらいの力の集約によって、植栽の後にメリハリのある景色を生みだすことができるのです。
既存の庭の解体後、緑のないむき出しの家屋。どんな家屋も緑がないとさびしいものです。
来週にはこの庭の植栽が終わります。その時、木々の向こうに潤いあふれる美しい家屋の景色が誕生するのです。