風景を繋ぐということ 平成23年3月21日
暖かな雨の祝日です。この時期は落葉樹の新芽が膨らんで、新緑間近のひそやかな躍動感を感じさてくれます。
事務所の木々も、植栽後10年目を迎え、ますます雑木林の風情を増してきました。コナラとクヌギが競い合うように伸長し、その下の木々も空間を分け合うように枝葉を伸ばしていきます。
写真右奥、上空に広がる枝葉は、隣地に元々あった5本のケヤキです。
道路を挟んで5本ケヤキの大木群と、そして右側の木々の合間の屋根が当社の事務所です。
11年前、隣地に生えるこのケヤキが気に入って、この土地を入手し、そして、このケヤキ群によって西日が遮られる位置に事務所を建てました。
そして、建屋東側に主庭を配して、東南の2面に植栽しました。
写真右側が元々あったケヤキ群、そして左側の木立が事務所周辺に10年前に植栽した木立です。
植栽した雑木はケヤキ群と競い合いながら、上へ上へと枝葉を伸ばし、そしてその下に広い林床空間を造り出しています。
元々あった大木と、新たに植えた木々とが10年近い年月を経て、道路や建屋を挟んで一つの風景となりました。森の中の事務所と道になりました。
300坪の事務所用地、11年前、私がここを入手した時、まだここは何もない草地だったのです。土地に人の思いを込めて、そして月日の経過が風景を育てます。
これが年月というものなのでしょう。木々が生長し、風土に溶け込むにつれて土地に風格が生まれます。
どんよりした雨空に、幹枝のラインがとても美しく、道も電柱も建屋もすべて、木立の合間に佇んで見えます。
風景を繋ぐという事、これからの街づくりに際し、そんな視点で臨んでいきたいと思います。