小田原市Tさんの庭 石窯の火入れ 平成23年1月31日
昨年秋に完成した、神奈川県小田原市Tさんの庭、昨日、石窯の初火入れにうかがいました。
初めての火入れです。窯に炭をくべているのはお施主のTさんです。
大量の炭で、石窯壁面に蓄熱させて、石の輻射熱を使って料理するというのが、本来の石窯であります。
しかし、初めての火入れでは、石窯の内部を乾燥させるのに時間がかかり、今回は炭をくべたままでの料理となりました。
石窯の定番はやはりピザです。窯の中はすでに、1秒と手をかざしていられないほどに熱くなっています。
本当は炭を全て掻き出してからピザをくべて、蓄えられた熱だけで料理します。炭をくべたままだとどうしても熱がピザに均等に廻らずに、部分的に焦げたり、一部が生焼けだったりします。
なかなか難しい。でも、これも経験です。石窯と対話しながら、良い焼き具合を追求していけば、石窯料理を極められると思います。
かつてのかまどやせいろでの料理と同じく、おいしい料理をつくるためにコツをつかんでゆくことが、石窯の大きな楽しみになるでしょう。
生地からTさん奥様手作りのピザがいい感じに焼きあがります。
煙突のない輻射熱利用式の石窯の場合、一つの窯口を通して空気の対流をつくる必要があります。
いきなり石窯の中で炭火を起こすのは難しいため、あらかじめ七輪で炭を起こして、その炭を石窯にくべることで、早く確実に空気の対流をつくることができます。
子供たちが持っている棒は、竹でつくったふいごです。これで窯の中の炭に空気を送るのですが、これは男の子たちにとっては格好のおもちゃです。先端を炭で燃やしたり、水につけたり、やりたい放題です。
それを予測して、今回のためにふいごを3つ用意してきました。先見の明?でした。。
タンドリーチキンもいい匂いです。奥にはラップにくるんださつまいもを焼いています。
冬の雑木の庭、雑木の幹や枝影が心地よく揺れて、燦々と降り注ぐ日差しの中に佇む石窯広場の様子。
庭に造った水舟の水面が揺れて冬の日差しを優しく反射し、潤いと動きを庭に感じさせてくれていました。
水舟と家際の雑木植栽の様子。幹枝越しの光と影の動きこそが、雑木の庭に雰囲気と心地よさをもたらしてくれます。
落ち葉ストックボックスとウッドデッキ際の雑木植栽。竣工後3か月の庭はすでに風景としてなじみ始めていました。
水舟に石窯、それらは造園設計の際のTさん夫妻のリクエストでした。好奇心旺盛なTさん夫妻のおかげで、私たちにとって、とても楽しく庭造りをさせていただくことができました。そして、そうした庭の構成要素をどのようにこの土地の風景になじませてゆくか、どんな佇まいやデザインがふさわしいか、それを考えて住まいの風景を提供するのが私たちの仕事です。
お施主様方々のリクエストによって、私たちの造園の幅を広げていただくことができるのです。
こうしたお客様に恵まれて仕事できることをいつも幸せに感じます。