晩秋 茨城県坂東市の庭 大方終了 平成22年11月13日
移植したばかりの木々は、その年の落葉の時期も、早く訪れるものです。茨城県坂東市の庭、ウッドチップ舗装の園路を敷き終えて、昨日その大方が完成しました。
植えたばかりの落葉樹の葉はすでにその大半を落としています。こうして雑木の庭は、冬に向けて活動を低下させていきます。この時期から冬にかけての植栽が、温暖化の進む現在、最も適切な時期に感じます。
冬の間にゆっくりとこの土地になじみ、来春には一気に根を広げていきます。そして、しっかりと根を張ってから、温暖化というより灼熱化というべき今後の日本の夏を乗り越えるべく挑むのです。
それにしても、晩秋の日は短く、一日の仕事を終える頃にはこうして暗闇が押し寄せてきます。できたばかりの庭ですが、沈みゆく西の空に浮かびあがる枝葉のシルエットが冬の訪れを感じさせます。
古材の門柱についている郵便受けは、工事用の仮のポストです。
もう少しで完成です。家屋も風土も周囲の雰囲気も、この住まいの環境を引き立ててくれています。そして植栽した木々はこれからますますこの風土に溶け込んでいくのです。
新たに生み出したわが子のような庭、その成長を見守るという生きがいが、こうして一つずつ増えてくるのです。
お施主のUさんご家族には、大変長らくお待たせしての庭つくりとなりました。それでもこうして気長にお待ち下さるお施主様がおられるからこそ、私たちは庭つくりを積み重ねてゆくことができるものと思います。
また、隣の県とは言えども、私の地元とは自然の様相や風土の空気感など、それらは全く異なるものです。
その土地に溶け込む風土の住環境造りを目指す私たちにとって、こうして様々な地域で庭つくりを積み重ねてゆくことが、風土と環境を読み解くための大切な訓練になるのです。
こうした機会を与えて下さった上に、とても長い期間お待ちいただき、さらにはいつも快く接して下さるお施主様に、心からの感謝を申し上げます。心豊かな時間、幸せを実感する時間を下さり、本当に本当にありがとうございました。