庭造り

最近の活動報告     平成28年7月18日

 高田造園ブログをお読みくださる皆さま、大変ご無沙汰しております。高田造園設計事務所の高田です。皆さまお元気でしょうか。私たちも元気に精力的に活動しております。
 大変な多忙の中、ブログの更新がかつてないほどに空いてしまいました。
その間、報告したいことは山ほどございますが、簡単かつ、つれづれなるままに、順不同でご紹介したいと思います。

 まずは竣工した庭環境のご紹介から始めましょう。
 先に一期工事を終えて中断しておりました千葉市中央区の庭が先日竣工です。

 高低差のある敷地を生かして奥行きと変化のある空間が生まれました。

 木々の合間に様々移り変わる光と風の空間を連続させていきます。

 庭側から木々越しに家屋がなじみます。今後木々の成長とともにここは自然環境の中の住まいへと昇華してゆくことでしょう。

 そして二期工事の目玉は、芝生の息づく駐車スペースとそこからのアプローチ。
駐車場の緑化のポイントは、下地の作り方にあります。
 車両の重さで土壌が圧密されることのないよう、石をかませて車重を支え、なおかつその間の空間が円滑に水と空気がしみ込んでゆくよう、様々配慮を重ねます。

完成直後の芝生の駐車スペース。

 縦列駐車場の奥、木々の合間の裏門から庭へと伝います。

 完成直後のアプローチ。すでに心地よい空気が通り抜け、この土地の自然環境としての醸成が始まりだした、そんな気配を感じます。

 そしてここは6月初めに竣工した、長野県鹿教湯温泉内の環境整備工事の模様です。
無機質な工業製品の外壁も、周辺の森林環境とつながる木々の配植によって環境の中に溶け込んでいきます。

 住宅造成に伴う均一傾斜の盛り土斜面枝葉を絡ませて土留め柵をつくり、植栽スペースを作りながら、自然地形へと誘導していきます。

 自然地形を再生し、そのうえで植栽、グランドの保護には周辺の山林内の落ち葉溜めから採取した、落ち葉の下の腐植層を用います。

 周辺林から採取した腐植。分解途中の枝葉に菌糸、樹木根が絡み合い、スポンジのような森の皮膚を形成する、それが健康な森の腐植層です。
 この、森の皮膚移植ともいうべき腐植層の採取には、あくまで採りすぎず、森にダメージを与えないように細心の注意で行います。

 腐植マルチ後の植栽地。自然地形再生のために絡み合わせた枝葉は1~2年程度で良質な土壌へと還っていきます。その時にはすでに樹木の根が表土を張り巡らせて地形を支え、あたかも自然本来の地形のように心地よい姿で安定してゆくことでしょう。

 玄関前の洗い出し仕上げによるステップの敷設のための型枠です。
コンクリート厚はわずか12センチ程度とします。
 凍結深度の深い寒冷地では近年、かなりの深さまでベースコンクリートを打つのが業界の常識となっています。凍結深度を超えるまで深くコンクリートを打たないと冬場の凍結で持ち上がってしまうからです。
 しかし、それは大地に対して多大な負荷を与える誤った方法と言えるでしょう。

 下地を圧密してふっくらした通気環境をつぶしてしまうから凍結によって持ち上がるのであって、それをせずに呼吸する大地を生かしつつ、ブリッジのように支える構造であれば、冬場の凍結によって持ち上がることはありません。

 ここでは、表面を炭化させた杭を打ち込みます。炭化させることによって表面の通気透水および微生物環境が正常を保ち、そこに菌糸が絡み、樹木根を呼び込みます。そして絡んだ樹木根が杭を支えます。

 打ち込み杭とワイヤーメッシュを軽く連結し、そして下地には土中通気改善の上で、炭とウッドチップをまぶします。

 そしてそのうえで塗り込み、洗い出して仕上げます。
大地を傷めず、周辺木々や微生物環境へ負荷を与えず、まるでふかふかの土壌の上に平たい石を置いたような、そんな仕上げです。そしてその人工石を焼き杭とそれに絡んだ根っこが支え、植物根も土中生物もその下で心地よく生きていけるそんな環境を保ちます。

 完成後の玄関周辺と、寒冷地仕様でなおかつ大地に負荷を与えないコンクリート造作。

 完成直後の外空間。茶色のウッドチップ敷きのスペースは、ノシバの種を播種した駐車スペースです。適正な管理がなされれば、来年には緑の息づく駐車場となることでしょう。

 そしてこの春以降、新たに導入した取り組みの一つとして、複合発酵酵素水の培養設備のご紹介です。
 当社管理のダーチャフィールドに最近設置した複合発酵プラントです。大量の微生物複合増殖、合成、酵素化を同時に行う設備です。

 発酵槽では、無限といっても過言でないほどの多種大量の微生物群を増殖、共生させていきます。
 毎日手を入れて攪拌します。このとき、微生物の状態を把握するためのもっともすぐれた感覚器官は鼻や下、手触りを通した五感すべての複合であることを実感します。微生物の状態は日ごと変化していきます。

 正常な発酵が連鎖すると腐敗の作用は全く起こりません。そんな発酵部屋の空気はよく、山の中なのにハエも蚊もほぼ生じません。

 飴色は増殖した光合成細菌などによるものです。腐敗はありません。

 そして隣の合成槽では、増殖した微生物の合成作用が起こり、透明度の高い無臭の酵素液を増殖します。
 ここにはすでに微生物菌類は存在せず、酵素とエネルギーへと転換されます。

これを土壌や空気中、葉面、そして住環境周辺などのあらゆる環境中に散布することで、本来の正常な微生物の合成作用の循環が再生していく、そのきっかけとなります。
 疲弊気味だった当社フィールドの自然菜園も酵素水散布によって目覚ましく回復し、そして、病虫害もほぼ現れません。訪れる昆虫の種類、特にトンボなどが目覚ましく増え、その一方で蚊やカメムシなどは激減しました。豊かで多様な本来の生き物環境の循環が再生されてきたのでしょう。

 フィールドでのイベントなどの前に、この酵素水を散布すると、驚くほど蚊がいなくなるのです。もちろん、ハエなども激減します。

ここは長野県飯山市、常盤第一地区下水処理場です。ここではおよそ600世帯分の下水を複合発酵技術によって処理、汚泥の消失減量化を行っています。

下水処理槽も汚泥層も、嫌なにおいが驚くほどしません。むしろ、心地よい空気感すら感じます。

 処理水には大腸菌すら消失し、飲用可能なレベルにまで浄化されます。みんなで処理水を試飲します。

 この処理水を周辺の様々な農家の方々がタンクに詰めて持ち帰り、それを農地に散布利用しているのです。
 複合発酵下水処理水を利用して、無農薬無肥料による作物生産がいたるところで実現されている、そんな圃場を見学して回り、想像を絶する微生物世界の神秘的なまでの働きに打たれます。

  ここも長野県内、複合発酵によって家畜のし尿処理を行っている畜産農家の処理施設です。
 大量の牛のし尿を複合発酵酵素によって発酵させて分解、合成処理しています。
 畜産農家のし尿処理施設なのに、驚くほど嫌な匂いがありません。

 そしてハエもほとんど沸きません。驚くべき現実です。
家畜の牛に酵素水を飲用させることでまず、糞尿の腐敗臭が激減します。おなかの中で腐敗作用がおこらず、正常な発酵サイクルが再生されることによるのでしょう。
 そして、酵素水を飲用した家畜は病気にもなりにくく、今の不健康な畜産に欠かせない抗生剤すら、必要としなくなるのです。

 そしてこの処理水も周辺農家が積極的に利用し、農薬化学肥料などの環境を汚染する余計な造作をせずに健康でおいしい農産物を高い収量で生産されているのです。

 驚くべき技術、自然界の真理は、これまでの微生物学の常識の範疇にとどまるものには決して理解されることはないでしょう。

 私たちが取り組む果てしない環境の再生に、この技術を生かし始め、そしてその目覚ましい効果を日々実感しています。

 ここは今年に入って千葉市内に新たに借りた、6000坪ほどの山林です。この山林を整備、育成利用しながら、ここに20世帯程度のダーチャ村を作り、週末に家族とともに自然とともに暮らしてゆくことを望まれる、心ある方々と共にコミュニティと環境を育てていく、そんなことを計画し、環境再生整備を始めています。
 
 都市近郊の里山の多くは放置され、荒れていき、そして相続のたびに代々の地主の手から他者へと買い取られていきます。
 都市近郊で今、こうした土地を取得するのは多くは土木建設会社の資材、残土、ごみ置き場、そして廃棄物処分場、太陽光パネル設置用地など、、、。その果てに環境は一気に荒れていき、そこはもはや、それまでの穏やかで心地よい田舎とは全くかけ離れてしまうのです。
 先祖代々住み慣れた故郷が壊れてゆく、心ある地主さん方々の多くはそれを望んでいません。
 しかし、後継者がいない、息子も部落を離れてしまい、人手もない、そんな中、選択肢が限定されてゆくのが今の時代。
 里山も農地も、その土地の先人が育んできた、大切な宝です。それを新たな形で活用し、そして地主さん方々にとってもメリットとなる形にしてゆくこと、そんな形で日本を再生していきたい、そんな思いでダーチャ作りの活動を今、はじめております。

 荒れた山を改善する、その作業は大勢でやれば楽しく、はかどり、なおかつみんなの学びになります。
 今回、この山の心臓部ともいえる谷筋のラインにおける空気通し改善作業を40人のワークショップで実施しました。

 かつては村で共同で行う、結(ゆい)の作業が村落の環境を守り支えてきました。それに代わる現代の結(ゆい)、それがこうしたワークショップなのでしょう。こうした作業にたくさんの人が集まり、そして楽しみながら作業が進む、良い時代に変わりつつある希望をも感じます。

 そしてこの日の作業は杉林の皮むき間伐作業です。樹皮をはがし、下からみんなで引っ張ってはがしていきます。

 放置されて細長く不健康な林となった人工林の間伐には、この皮むき間伐が最適で、今全国で急速に普及しつつあります。

 樹皮をはがし、立木のままゆっくりと時間をかけて枯らしていきます。
 そして、徐々に枯れていき、水分が抜けていき、光が徐々に入り込むことによって周辺の木々が枝葉を広げ、林床の植生が回復する、皮むき後2年くらい後に伐採し、天然乾燥材として利用されるのです。
 こうして自然乾燥した木材の重量は生木の3分の一以下になり、搬出も容易で大きな機械を必要とせず、大きな道をつけずとも森を荒らすことなく山から木材を運び出すことができます。

皮をむいた立木は水分を含んで美しくきらめき、その手触りや香りに誰もが魅了されます。

 なるべく高い位置まで皮をむきたい、つるつるの木に登ってみたり、肩車してみたり、あらゆる方法でにぎやかに作業が進みます。

 従来の間伐の場合、劣勢木を中心になるべく均質な密度を保つよう、まばらに均等感覚で間引きを行うのですが、ここでは違って、数本単位で集中的に間伐してゆくことで、杉林の中に50㎡程度のパッチ状の開口空間を点々と作っていきます。
 一本単位の間伐ではなく、こうしてまとまった開口を作ることによって、広葉樹等の新たな侵入木や林床植生の発達、多様化を促し、健全で多種共存の針広混交林へと短期間で誘導してゆくのです。

今回皮むき間伐を行った林分に隣接するシノダケの藪。シノダケ以外に何も生育できない、荒れはてた場所。
 これは数年前に杉林の一斉皆伐が行われ、重機で蹂躙されて環境を壊してしまった場所の跡地、ここまで荒らしてしまうともはや自然の力だけではなかなか健全な森へと移行していきません。
 しかし、こんな藪でも、適切に手を打つことで、驚くほど短期間に健全な森へと遷移させてゆくことができるのです。

猛烈な勢いで覆いつくすシノダケをすべて伐採するのではなく、まずは地形形状や笹のハエ具合などを読み取りながら、空気の通り道を開けていきます。
 これだけでこの土地の生物環境はみるみると改善に向かい、硬化した土壌は回復し、シノダケは徐々に勢いを弱めていきます。そして、もう少し藪がまばらになってきたところで、次の作業として、さらに横に風道を開いていきます。そうしているうちに、徐々にシノダケ以外の植生が侵入をはじめ、生態系が回復してゆくのです。

 環境再生は自然との共同作業であって、人間がすべてをやろうとしないこと、今回のワークでそんなことを多くの人に伝えたいとの思いを込めます。

 4年前から整備を始めたダーチャフィールドも、日ごと月ごと心地よい環境へと変貌し続けていきます。
 森には子供が似あいます。僕たちの子供のころのように、森に虫の声、鳥の声、子供の声、そんなものが響き渡る豊かな大地が広がってゆくことを願い、猛烈に忙しい日々を生き抜いていきます。

株式会社高田造園設計事務所様

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