仕事納めの竹炭つくり 平成27年12月30日
本日にて高田造園設計事務所、年内の現場作業を終了とさせていただきました。
師走の多忙な時期に私自身が風邪をこじらせたこともあり、暮れの手入れも廻りきれず、来年繰り越しにさせていただきましたお客様にはこの場を持ってお詫び申し上げます。
ブログ更新の間隔も大変空いてしまいましたので、今年最後の記事として、高田造園設計事務所の竹炭作りをご紹介したいと思います。
竹炭や木炭は、傷んだ土壌環境の改善において、かけがえのない有効な資材であります。
私たちはいつも造園工事や環境改善作業において常に大量の炭を用います。
多い時は一つの現場で数千リットルもの木炭を用いることもよくあります。しかしながら環境改善資材としての炭の重要性については、まだ十分に認知されているとは言い難く、生産量も生産業者も限られているのが実際です。
炭の供給不足を補うべく、我々も今年後半から、本格的に竹炭の自社生産を始めました。
この師走の時期にも、来年のために合間を見て交代で炭を焼いております。
野焼きが原則禁止となって久しく、年々新たに入社してくる若い社員たちを見るにつけ、今や、日常的に火の性質を学ぶ機会も持てずに大人になるのが普通になってしまったことを感じます。
僕が子供の頃はまだ、野山に行けば落ち葉焚きや土手焼きが普通に見られ、子供たちはいつも、マッチと鉛筆ナイフは野山遊びの必需品としてポケットに忍ばせていた、そんな時代だったのです。
落ち葉焚きの煙をみれば、そこに子供たちが集まって凍えた手を温め、火を炊く大人もそんな子供たちのことなど気にすることもなく、せっせと落ち葉を集めて灰にする、そんな当たり前だった古き良き光景も、今や昔のことになってしまったことに気づかされます。
本来、里山管理に欠かせないのが野焼きであり、炭焼きです。
当社の有機物リサイクル場周辺の竹林を整備しながら、間引いた竹を降ろします。
毎年旺盛に出てくる竹は、とても有効な資材であり、我々は周辺の竹林整備を兼ねながらこれを造園資材として活用し、そして炭焼きの材料としても用います。
土壌改良用の竹炭は、野焼きで作る柔らかい消し炭が最適です。野焼きの生産効率を上げるため、我々もさまざま試行錯誤の末に、今の方法にたどり着きました。
今回その方法を少し紹介したいと思います。
まず、燃やす箇所に空気が入り込み過ぎないように三方に衝立を回し、そしてその中の半分のスペースで竹や枝をガンガン燃やし、次々にくべていきます。
するとやがて、たき火の下の方からいい具合に炭化が完了してきます。
それを見計らって、まだ炭化しきらずに勢いよく燃え盛るたき火上部の竹や枝を、隣半分のスペースに移していきます。
囲いの中の二つのたき火。左が、まだ炭化してない部分を右から移して、さらに次々に竹をくべたもので、そして右が、炭化終了間近となって、炎が弱まっている部分です。
炭化しきれていないものはまた、左のたき火に移動して燃やします。そして一方の炎が収まったところで、それをすくって水樽に放り込みます。
これを交互に繰り返してゆくのです。
水樽に浸けた竹炭はしばらくジュウジュウッと煮えたぎる音と共に、白い蒸気が心地よく湧きだします。多孔質の灼熱の炭の中に水が少しずつ入り込み、そして冷やしてゆくのにしばしの時間を要するのです。
充分に静まったところでこれを網ですくって板の上で水きりします。
試行錯誤の結果、今は1日3人の作業で1000~1500㍑の竹炭が焼けるようになりました。
これが大地の環境を息づかせて再生してゆくための触媒になると思うと、見ているだけで愛おしく、幸せな気持ちになります。
そして、用途に応じて使いやすいように、粒度に応じて篩い分けていきます。
粒度の荒い炭と細かい炭。それぞれ目的に応じた用途があります。
これを袋詰めにして保管し、環境改善作業の必需品として様々なところで用いるのです。
こうして、竹を活用することで、荒れ果てていた竹林も美しく再生されていきます。
こうしてきれいになった竹林を見てまた、竹林を荒廃するままに持て余している他の地主さんからも、「うちの竹林も使っていいよ」と声がかかります。
こうした作業が、私たちが子供の頃の美しい里山の光景や営みの再生に繋がると思うと、とても幸せでやりがいのある作業です。
土壌再生資材としての炭の活用は、これからますますその需要を増すことでしょう。里山の再生を望む方々は是非、竹炭焼きをお勧めしたいと思います。
こうしてひとつずつ、周辺環境との絆を取り戻してゆく、そんな地道な作業が環境の再生のためにとても大切なことと思います。
さて、今年もたくさんの方々のおかげで、とても楽しい一年を無事に過ごすことができました。
お世話になった皆様、今年新たに知り合った方々も、以前からの知人友人お客様方々も、本当に感謝の想いで一杯です。
皆様どうぞよいお年をお迎えくださいませ。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。