庭・街・風景に思う

千葉県印西市の造園工事と夏の雑木の庭 平成26年7月13日

 めまぐるしい日々の中、月日は怒涛のごとく過ぎ去っていき、また今年も猛暑の時期を迎えようとしております。
 日々、西に東に庭つくりに手入れと、奔走しているのも、暑い夏をできる限り木々の力を活かして快適にしたいという、健康的な住まいの環境を求める方々に提供したい、そんな想いで身を粉にして奮闘しつつも依頼に追いつかず、、お待たせしていますお客様、春の手入れに廻りきれなかったお客様、いつも気にかけております。ご容赦くださいませ・・。

 ここは千葉県印西市、Sさんの庭の造園工事です。ただ今高田造園設計事務所では3件の造園工事を同時進行中です。かなり無理を重ねての作業ですが、それというのも、暑い夏の前に、落葉高木だけでも先に植え終えるべく、忙しく廻っているのです。この時期、傷みやすい落葉高木だけでも先に植え終えてしまえば、それ以外の庭の工事は猛暑でもできます。また、真夏の屋外で作業する私たちにとっても、落葉高木の木陰は大変ありがたいものなのです。
 なお、当社の落葉高木はほとんどがその年の冬に根回ししておりますので、大方1年中植栽が可能です。

 S氏邸、依頼いただいてからやはり2年ほど待っていただいての着工となりました。住環境という視点で庭つくりを考える作庭者は確実に増えてきましたが、造園関係者全体の中ではまだまだ少数です。
 今後、「自然で健康的で快適な住まいの環境つくりを」という、増え続ける要望にしっかりと対応できる造園者がもっともっと増えてくれば、素晴らしい住環境が町を変えてゆくことでしょう。
 今はできる限り、依頼に応えて、健康で生き生きとした快適環境を作るべく、踏ん張っております。

 今日の植栽樹木は20数本。3時までに植え終えて、何度も何度もたっぷりと水を与えます。夏の植栽は無理をしない、それが私の方針です。
 暑い中、根を伐られて耐えている木々をなるべく無理なく、早く植え終えてあげねばならないからです。

 工事の合間に、手入れに廻らねばならないのもこの時期です。
 ここは千葉県千葉市、5年前に施工したHさんの庭。夏の庭に、健康で生き生きとした木々が涼しい木陰を作ります。
 この時期の手入れは、木々が暑さと乾燥で痛むことのないよう、伐りすぎることなく、差し込む光や風をコントロールし、軽やかで涼しげな庭に誘導します。
 その点、冬の手入れとは目的も伐り方もおのずと変えていきます。それが自然環境の手入れというもの、単なる剪定とは全く考え方が異なります。

 高台となる家屋北側も木々に包み込んで木陰とすることで、住まいの中だけでなく周辺環境までも涼しい風を送ります。
 環境形成効果の高い、森の高木樹種を用いることで、その土地に森の中のような快適な環境が形成されます。その効果を最大限に引き出し、木々の力で健康で快適な暮らしの環境をつくってゆくこと、それが私たちの目指す庭つくりです。

 ここは東京都練馬区K氏邸東側、玄関前の木々です。植栽して4年です。
 リビングの2階窓の前に枝葉が茂り、今はカーテンを1日全開で過ごしていると言います。

 2階窓を潤す木々は、玄関ポーチ脇の幅わずか40センチ程度の植栽スペースです。高木樹種の苗を混植密植することで、このわずかな幅でも数年後にはこうして2階窓の環境を潤すほどの豊かな緑の環境となるのです。

 わずか40センチの幅の緑地帯の緑が、こうして住環境を木陰にし、カーテンいらずの暮らしの環境をつくり、そして街にも潤いを提供するのです。

 狭いからと言って、低木ばかり植えても住環境は豊かに潤うことはありません。環境をよくする植栽には、それなりの方法があるのです。

 夏の事務所は深い森の中に包まれたように、ひんやりとした空気が流れます。この庭の奥行きはわずか4m弱ですが、それでもこれほどまでに木々の生命力を引き出すことができます。
 木々の可能性、木々と共にある暮らしがもたらしてくれるものは計り知れません。

株式会社高田造園設計事務所様

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