早春に・・ 平成25年3月26日
ここは千葉県鴨川市、黒潮押し寄せる温暖な南房総では今、一面の菜の花が春の訪れを知らせてくれています。
先週にかかり始めたのは、千葉県鴨川市、幾重にも連なる棚田を見下ろす素晴らしい地に佇むうつわやカフェ「草so」の外環境整備です。
東京に一番近い棚田として有名な大山千枚田にほど近い天空のカフェです。
カフェの北側斜面に屋敷林を作るべく、段上の土留めを巡らせました。この後、土壌を改良して植栽環境を整備します。
見晴らしの良い開けた立地ですが、昔ならこういう場所に家を建てる場合は、必ず生活環境を守る屋敷林を造りました。
今は住まいの外周に新たな屋敷林の造営がなされることは非常に少なくなりましたが、敷地外周の森が豊かな住環境を作ってくれます。
ここでは現代、未来に向けて価値ある新たな屋敷林を造営します。
当社事務所の庭も、木々の芽が日に日にふくらみ、にわかに春めいてきました。
例年より2週間も早く、クロモジが線香花火のような薫り高い花を見せてくれました。
門脇のユスラウメも可憐な花を開きます。
ヨシノツツジ。大好きな花です。
そしてアセビも清らかな花をつけます。
冬の間は少しさびしげだった事務所の庭も、にわかににぎやかになってきました。今年もまた、春の到来に感謝です。
昨日日曜日、当社で5年間の修業を終えて旅立つ女子社員が、旅立ちの前日、休みを返上して事務所の庭の掃除に来ていたのです・・。
「5年間の感謝をこめて、」と彼女は言いました。
心を込めて掃除をするということ、人間が人間であるために、いくつになっても大切なことだと確信しています。一番大切なことは掃除だと、私も若い頃、親方にそう言われて育てられました。
そして、私も忠実に、親方と同じことを若い従業員に言い続けてきました。
当社の修業期間は5年です。5年で独立するというくらいの気概がなければ、本当に人に役に立つ仕事など決してできないと思うからです。
そして、いつも取り残される私は、この寂しさを何度となく経験してきました。これからもまた、繰り返すことでしょう。
人は私のやり方を、もったいないやり方だと言います。「せっかく育てた従業員を手放すなんて」と。
しかし、私が親方に育てられて、独立させていただき、そしてこの仕事で自己実現させていただくことができ、日々感謝と幸せに包まれて仕事させていただいている以上、やはり、私について来てくれた若い人たちにも同じような幸せをつかんでほしい、そのための足かせには決してならないように、そう思っているのです。
その後は、節目節目で弟子の努力を黙って助けてあげる、決して邪魔はしない、私の目指す親方とはそんなものだと思います。
彼女は女性で初めて、当社での5年間の修行期間をまっとうし、そしてさらなる世界へ向けて旅立とうとしています。
その彼女が、旅立ちの前日に感謝をこめて事務所の庭を掃除している姿に、涙腺が緩みます。
こんな、素晴らしい若者たちが日本にはたくさんいることでしょう。日本もまだまだ捨てたものではありません。私ももっともっと役に立てるようがんばろうと思います。