街中小さな森つくり 江戸川区田中工務店 平成24年11月23日
ここは東京都江戸川区、株式会社田中工務店です。「会社前のわずかな幅に豊かな緑を」、田中社長からそんなご要望をいただき、「それなら私に是非お任せを!」とばかりに、緑化に挑みます。
看板は緑の中に埋もれてよいとの条件の下、将来ここに高さ7m程度の緑の壁を作るべく、雨の中作業に臨みます。
道路際のわずか30センチ程度、コンクリートを剥がして、土留めを施し、こんな場所でも健全な植栽条件を整えます。
地盤下、50センチ程度掘り下げて、そこにゼオライト・バーク堆肥などを混入し、既存土壌環境の改善を図ります。
そして、土壌改良材と下地土壌を攪拌します。
そして、乾燥させた剪定枝や幹を並べます。
埋戻しに用意した土は、剪定枝や落ち葉を堆積してできた完熟腐葉土です。
この腐葉土を、枝幹の上からかぶせて埋め戻していきます。
枝や幹の混入によって、下地土壌が圧密されることなく、柔らかな状態に保たれて、根の生育に適した土壌条件が整えられます。
そして、これらの枝幹が土中で朽ちるころには植栽樹木の根が十分に張りめぐらされて、その根が代わって土壌の圧密を防ぐ役割を果たすのです。
再生土壌の埋戻し完了です。ほっこらと柔らかく、土を盛り上げます。
樹木ポット苗は、下記のとおりです。
常緑高木樹種;シラカシ・アラカシ・スダジイ
常緑樹中低木樹種;シャリンバイ・ハマヒサカキ
落葉樹高木樹種;コナラ・クヌギ・ヤマザクラ
合計20数ポット。
ポット苗をこの狭いスペースに混植・密植していきます。
これらの木々が都会の厳しい環境からお互いを守りあいながら、競合し、そしてやがて淘汰されてゆくのです。
植栽後、稲わらで土壌を保護します。稲わらによる養生によって土壌の温度や湿度の変化を緩和し、そして土壌生物を直射日光から守り、土壌環境を改善します。
そしてこの稲わらは2年で分解して土に還ります。風に舞い散らないように麻縄で藁を抑えます。この麻縄も分解して土に還ります。
植栽後。
この小さな苗木が数年で大きな緑の環境へと育つのです。
都会のこんな狭いスペースにも、健全なグリーンベルトを育てることは十分にできるのです。こうした育成型の緑化のノウハウをスタンダードなものとして普及させてゆくことで、わずかなスペースで街が効果的に潤うことができるのです。
5年後には最大樹高6m程度の樹林となるでしょう。これからが楽しみです。