えどがわ森の保育園 竣工3ヶ月後の訪問 平成23年6月28日
千葉県流山市に開園したばかりのえどがわ森の保育園に、手入れと打ち合わせのため、開園後初めて訪ねました。
保育園の敷地に雑木林を植栽してわずか数カ月、はやくも広い敷地に点々と雑木の木陰が広がっていました。とてもいい感じです。
今日は、保育園に隣接する、江戸川大学総合福祉専門学校の植栽打ち合わせを兼ねて訪ねました。
真夏日和の中、エアコンをつけない学長室で、うちわを扇ぎながらの打ち合わせです。
エアコンに頼らず、植栽によっていかに夏の室内の温度を下げるか、どのような植栽配置が効果的か、そんなことを真剣に話し合いました。
時代は今や、私たちが進めてきた、樹木植栽による住環境改善のための外空間利用へと進んでいることを改めて実感し、とてもうれしく思いました。
保育園の園長先生は、「この部屋は午前中は涼しくてエアコンはいらない。」とか、「この部屋は午後には涼しくなる。」とか、改善のポイントを熱環境から導き出そうとされます。
炎天下の日中、エアコンなしの学長室で、とてもユニークで楽しい話し合いが進みました。
そして、隣接する専門学校も、この保育園の雑木植栽につながるような森つくりによって、学校全体の微気候改善に乗り出そうとされています。
時代は新たな方向へと動き出した、そんな胎動を感じる瞬間です。もちろんこんな素晴らしい試みに対し、私は力の限り協力していきます。
時代が良い方向へ進み始めた、この流れを逆行させてはいけません。
保育園西側窓際の植栽。
家屋配置において、西側や北側は軽視されるのが今の一般的な住宅建築の配置となっていますが、家屋の微気候改善効果という面では西側や北側の植栽が、実はとても重要なのです。
西日はダイレクトに室内に差し込み、あるいは家屋壁面を通してジワリと熱を伝え、それが室内を蓄熱させてしまいます。西日による夏の蓄熱効果は、南中時の日差しよりも、実際にははるかに大きいのです。
西面の建屋際に落葉雑木を配植することによって、効果的な木陰を室内や壁面に生みだし、室温上昇を緩和してくれるのです。
そして、保育園ロータリースペースと道路との境界に設けた雑木の木立。わずかなスペースに密植した木立が大きな木陰を落とし、道路の照り返しを緩和してくれています。
必然、車はこの木陰を狙って停車するようです。
夏の木陰は何物にも代えがたい、ありがたいものです。
我々の都市は、木陰をなくして真夏に意味もなく蓄熱し、不快な街の環境を更に不快なものにしているのです。
今後の街づくりはこれではいけません。木々の力を震災後の街づくりに活かしていかねばなりません。