庭・街・風景に思う

千葉県旭市 九十九里平野の庭空間完成  平成29年4月24日

 

年始から断続的に進めてきました、千葉県旭市、九十九里平野の450坪の庭環境つくり、本日でようやく終了となりました。

 砂地なのに水がはけず、砂ぼこりの舞う砂漠のような海岸平野の庭が、施工後は水たまりもできず、なおかつ敷地外への水の流出もなく、すべてが大地にしみこんで潤す、呼吸する空間へと生まれ変わりました。

 敷地内には車が往来できる車道を配していますが、それも大地の通気環境を保ち、呼吸する道路として、庭の中に違和感なく溶け込ませています。

 
 庭の要所には、木々の根元にデッキ上の木蓋を何か所も配してますが、この下には1m以上の大穴を掘って、そこに大量の竹炭を漉き込んでいます。
 これが地形落差を生んで土中の水と空気を動かし、草木微生物等、様々な命が共存しやすい磁場を作り出す要として機能していくのです。

 砂塵吹き荒れる乾いた土地でも、命の調和を生み出す健康な環境へと誘導してゆくことは実はそれほど難しいことではないのです。

 敷地内車道造作の様子を少しご紹介いたします。
 常に車圧のかかる車道において、心地よさと潤いを保つためには、地盤の通気浸透性が永続的に保たれるための造作が不可欠になります。
 要所に車道を横断する横溝を掘り、溝の底には竹炭を敷き詰めます。

そこに透水コルゲート管を埋設し、その周辺を廃瓦片やコンクリートガラ、そしてその隙間にウッドチップ落ち葉などの有機物を漉き込みます。
 車圧を支えるのはコンクリートガラ等の無機物ですが、この透水機能を永続させるためには必ず、その隙間に落ち葉等の有機物を詰め込んで、土壌菌糸を誘導してゆく必要があります。
 

そして無機物有機物によって埋め戻した横断暗渠に、自家製の土壌複合発酵液を染み込ませていきます。これによって、眠ってしまった土中菌類を目覚めさせ、凝縮した菌類微生物が増殖し、土壌の隙間を適度に広げて保つのです。

 路面の下地に敷き詰めているのは、解体工事によって発生するコンクリート片です。このコンクリート片が地盤に刺さってクッションのように車圧を支えます。
 庭の造作に本来捨てるものなど何もなく、使い方次第ですべては環境資材として有用に利用できるのです。

 そして、その上に、竹炭、砕石、廃瓦片、廃瓦粉砕チップ、ウッドチップをサンドイッチしていくことで、車圧に対して圧密のおこらないクッション状の路盤を作ります。
 土の中の世界、見えない部分できちんと、車道の通気浸透性を保つために不可欠な造作を施すことによって、年月とともに健全に育ってゆく住まいの環境が生まれます。




 
広いので、まるで公園のような庭空間になりました。


 
 工事にかかり始めたときは生後2か月だったマメシバの子も、今ではかわいく元気な子供犬。
 工事のトラックが到着する音が聞こえると、今ではうれしくて大騒ぎします。この子の幼少の記憶はきっと生涯の記憶として、私たちのことを忘れないでいてくれるはずです。



 この子たちが優しい自然の調和を感じられる心地よい環境で暮らしてほしい、温かな思い出の風景を心に刻んで大人になってほしい、僕らの庭への思いはごく単純なものです。

 

 
 今後の年月の中で、木々が思い思いに枝葉を広げて空間を分かち合い、家族とともに互いに育ちあう、生まれたばかりのこの庭も、住まいの環境、家族とともに時を刻みつつ変化してゆくことでしょう。


 
 そして昨日手入れにうかっがったのは、地元千葉市緑区の庭、施工5年目です。
匝瑳市の広大な庭とは打って変わって駐車場際のわずかな幅の植栽スペースを活かして木漏れ日の住環境に仕上げたのですが、住まう家族の愛情は年月をかけて住まいの森へと環境を育ててくれるのです。

そして、植栽後10年余りが経過した我が家の木々も、これまで一度たりとも剪定も枝おろしもしていないにもかかわらず、木々同士がスペースを分け合い、人のスペースを侵さずに共存する、心地よい環境を黙って恵んでくれるのです。
 本当にいとおしいのが、命の営みというもの。人の営みも然りです。
木々に学び、その奥にある無限の愛を感じながら、豊かに時を刻んでいければ、そしてその喜びや幸せを人に届けたい、そんな思いでこれからも生きていきたいと思います。
 



株式会社高田造園設計事務所様

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