落葉の下で・・・ 平成26年12月7日
片田舎の小さな我が事務所。木々の表情と差し込む日差しの美しさはいつも、ここで過ごすことの幸せを感じさせてくれます。
師走に入り、庭から庭へと片時の休みもなく動き続ける日々の中、今日は来客を迎えるために早朝から事務所の掃除です。
水道管が凍るほどに冷え込む快晴の朝、木々越しに差し込む朝の日差しが穏やかで美しく、それを見ているだけで心穏やかに、木々と共に生きていることの幸福感に包まれます。
せわしなく日々を送っていると、移り変わる季節を感じる心の余裕すら、いつの間にかなくしてしまうものです。
そんな時は時折立ち止まって、庭を掃除し、窓を拭き、心に溜まった埃を掃き清めることが何よりです。
紅葉も盛りを過ぎ、明るい日差しが差し込む初冬の庭に、イロハモミジが穏やかな日差しを浴びて一際美しく、1年の終わりをやさしく彩ります。
師走に入り、毎日毎日早朝暗いうちに事務所を出立し、そして日が暮れてから現場から戻る日々が続き、のんびりと事務所の木々と対話する時間もなんだかとても久しぶりな気がします。
この感動や豊かさを伝えたくて、自分はこれまで庭を作り続けてきたんだなと、改めて感じます。
光と影、そしてそよ風に揺れる木漏れ日、ここにいて、空気を感じているだけで心も体もリセットされる、私にとってかけがえのないのがこの、ちっぽけな庭の木々たちなのです。
大量の落ち葉に埋もれた庭を掃き集める。本当に毎年よく落としてくれます。これが私たちにとっては良質な腐葉土を作るための大切な資源になります。
今年もまた1年間、感動をもらい、楽しませてくれて力をくれた木々たちに感謝しながら、プレゼントの落ち葉を集めます。
小さな庭で、積もり積もった落ち葉をかき集めて地表が現れると、流れる空気が変わります。
それは、健康な地面に空気が引き込まれて抜けてゆく、地中と地上の空気の流れが変わるのです。
狭く限られた庭においては特に、ずっと落ち葉を積もったままにせずに時に掃除して、一部分でも健康な地表を現わすことで、人にとっても心地よい空気の流れを保つことができる。それは同時に、土地の健康維持のためにもまた、効果的なことなのです。
1か月以上も落ち葉が積もったままだった庭の地表から落ち葉を取り払うと、こうしてすでに根が浮いてきます。落ち葉の下では、このひと月の間ににぎやかな動きがあったことが分かります。
細かな根が上を向いて伸びていき、そして積もった落ち葉に絡んで大地に引き戻そうとする、そんな活動が冬の地表で活発に繰り広げられているのです。
落ち葉の中は根が活動するのに心地よく、こうして地表地表へと根が向かい、それが結果的に豊かな大地を守ることに繋がるのです。
落ち葉に埋もれていた杉の幹の根元から新たな根が生じ、落ち葉によって供給されるあたらな環境の変化に対し、こうして積極的に動いてゆく、そんな生き生きとした木々の動きを感じることだできるのも、落ち葉掃除のおかげです。
落ち葉を掃いて地表をむき出すと、露出した根は樹皮を発達させて木部と化し、地表に接する部分から新たな根をおろし、すぐに地表に潜り込んで大地を捕捉していきます。そこには水や空気の抜ける心地よい地表が生まれます。
こんな木々の素晴らしさ、いのちの営みを、伝えたい想いに駆られます。
事務所の落ち葉を積もりっぱなしにして大地に還す場所も残します。冬草のロゼットが、落ち葉の毛布をかぶって暖かそうにしています。
木々の営みはいつも賑やかで、いつもたくさんのことを教えてくれます。
小さな事務所の小さな庭、健康で元気な木々たちが共にいてくれるおかげで、どれほど心豊かに暮らせることでしょう。
木々と共に生きる幸せ、いのちの営みは、人にとって本当に大切なものに気づかせてくれる、そして健康と力と生きる意味を感じさせてくれるのです。