神奈川県葉山、Sさんの庭竣工とMさんの庭 平成26年6月23日
先週からかかり始めた葉山町Sさんの庭が今日で完成です。
品よくまとめた玄関前の木々が、緑に恵まれたこの町の環境をさらに潤い豊かに見せてくれます。
木々の向こうに玄関があり、木漏れ日の石畳を伝って玄関に至ります。
玄関前の石畳には、建て替える前のこの土地にもともとあった大谷石の古材を少し加工して用いています。
杉苔のグランドカバーが一層古材を引き立てて、品のよい空気感を作ります。
正面道路から玄関前の庭を見ます。スペースの関係上、高田造園にしてはややこじんまりとした植栽ですが、3年後には2階窓を木々の枝葉が覆うまでに生育し、この家の外観を緑で包み込むことでしょう。
玄関脇の軒内は土とにがりだけで仕上げた柔らかでシンプルな土間とし、古材や木々の柔らかな雰囲気に溶け込ませていきます。
木々が入るだけで家屋の見え方は全く変わります。そして年月と共に成長し、変化してゆく住まいの自然環境としての庭は、この町に歴史の趣と風格を与え、育ててくれることでしょう。
中庭スペースの風景。2階部分にデッキテラスがあります。家屋の設計は、家だけでなく外空間を含めて心地よい住まいつくりを追求する北村建築工房です。
心地よい住まいは建築者、造園者、お施主との共同作品です。3者が同じ目的と高い意識で住まいつくりに臨んでこそ、本当に居心地のよい住環境となるのでしょう。
坪庭と呼ばれる中庭スペースは、現代住宅のような狭い区画で外空間を非常に有効に室内の環境改善に取り込むことができるものです。
わずかな面積で4方の部屋や廊下、空間から一つの庭を様々な角度で楽しむことができるうえ、夏を木陰にすることで、ここは大切な冷気溜めともなるのです。
本当の意味で外空間を上手に取り入れようとする、意識の高い建築者がもっと増えてくれば、住まいの快適性はどれほど改善されるか、計り知れません。
屋上の木柵の内側はバーベキューデッキとなっています。そのスペースから木々が楽しめるよう、高さ6m~7mの木々を周辺に配しています。
植栽は常に窓辺を意識し、そして空間の接続を常に意識して景色を繋げていきます。
木柵の向こうに駐車場がありますが、坪庭側からはその雰囲気を軽やかな木柵と木々で遮蔽します。
反対に駐車場側には、木柵越しに坪庭の緑が感じられるよう、配慮します。
また一つ、ここに緑豊かな住まいが誕生しました。今後の生育が楽しみです。
終始ご協力いただきました北村建築工房の皆様、お施主のSさま、充実した時間をありがとうございました。
さて、葉山町には昨秋に竣工したMさんの庭があります。竣工後8か月目のMさんの庭です。
非常な熱意で木々を愛し世話されるMさんのおかげで、潮風を受ける高台の環境でありながら、木々はしっかりと根付き、みるみる枝葉を茂らせていきます。
玄関回廊に伝わる緑の風。
玄関回廊入口周辺の景。木々の合間に収めてゆくことで家と庭が調和していきます。
毎日歩く玄関アプローチも、木漏れ日の表情は一期一会に移り変わります。
強さを増した初夏の日差しに、木々は強い木陰を作って住まいの環境を心地よくしてくれます。
住まいの微気候を改善する家際の木々たち。
木陰を抜ける風を室内に取り込むこと、そのかけがえのなさはそこに住んで初めて分かることかもしれません。
一年もたたずにこれほどまでの庭の落ち着きある佇まいを目の当たりにし、庭を育てるものは他ならぬ、お施主の愛情だということに改めて気づきます。
作らせていただいた庭を大切にしてくださるお施主様に心から感謝です。