庭造り

茨城県つくばみらい市の庭 一期工事終了   平成26年2月7日



 今年2件目の造園工事、茨城県つくばみらい市の庭が、芝張りを残して完成しました。


 都心郊外の新興住宅地では最近、街づくり地域協定により、開放的な外構設計が要求されるケースが一律にみられます。
 個人の庭の緑を住宅地の環境つくりに活かすことを主目的としているのでしょうが、実際にはこうした新興住宅地で街の潤いに貢献できるような庭を作られる方は非常に少ないのが事実なようです。
 こうした新たな住宅地で住まいのプライベートを守り、なおかつ街の潤いつくりや地域自然環境に貢献できる庭の在り方の実例を、こうした街の庭つくりの中で示してゆかないといけません。
 単に開放的なだけで植栽による補完がなされなければ、住まいの落ち着きは決して得られず、同時に街の景観つくりに資する庭空間の意義も失います。

 今回の庭つくり、地域協定に従い、開放的でありながら住まいの落ち着きを確保し、なおかつ街の景観つくりや、小さいながらも地域自然環境保全にも貢献する庭の在り方を意識して構成していきました。

 駐車場を家屋に対して斜めに配することで、互い違いに植栽スペースを生み出します。
通りから家屋窓への視界は、互い違いに配した木々によって穏やかに遮蔽され、なおかつ閉鎖的な印象を与えることもありません。

 玄関ポーチから見た駐車場。木々の中に溶け込む駐車場は美しい庭の一部となります。

 最近、駐車場の敷き込みに、古瓦を粉砕した再生チップをよく用います。
その第一の理由は、この素材の環境性能の高さにあります。陶器片ですので、透水性や保水性に非常に優れており、夏の日差しを受けても土中の湿気を吸放出して蓄熱することがありません。
 また、吸水性がよいため、土地に応じて様々なものを吸着しながら、その土地らしい色合いに経年変化し、年月と共に味わいを増していきます。
 また、チップの凹凸に枝葉の影がとても美しく映えることもこの素材の大きな魅力です。

 ウッドデッキを切り欠いて設けた植栽スペースによって視覚的な結界をつくり、開放的ながらもプライベート空間をそれとなく確保します。

 デッキから駐車場側を見ます。デッキの切り欠きに配した木々が空間を区切ります。

 デッキ正面。庭のすぐ奥にはアパートの駐車場があります。その無機質な風景を明るい木柵によって遮蔽します。
 遮蔽といっても完全に塞いでしまっては庭を狭苦しくしてしまいます。木柵の格子から差し込む光の動きがまた、庭に変化ある表情を与えてくれるのです。

 デッキからは、木々越しに水鉢周辺を垣間見ます。

 水鉢の存在は単なる景観要素ではなく、小鳥を呼び、庭の生態系を豊かにしてくれるのです。

 芝張りなど、春を待って仕上げるべき作業は残りましたが、庭の完成は、その土地に新たな風景、新たな環境が生まれたということ。環境も風景も、年月やその地の人の暮らしと共に育っていきます。
 新たな街で将来、この庭が大切な環境として育ってゆくことを願いつつ、来週からまた新たな庭つくりに一念入魂していきます。

 どうもありがとうございました。
 

 

 

株式会社高田造園設計事務所様

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