千葉県鴨川市の庭 石垣工事あと少し 平成23年4月21日
千葉県鴨川市Tさんの風景つくり、玄関へ至る小道沿いの石垣があと少しで積み終えるというところまで来ました。
長大な石積みです。山間の自然豊かなこの住まい、その石垣は棚田の石積みのごとく、自然で作為のない表情を目指します。もちろん、セメントなどは一切用いず、石同士の重量とかみ合わせによって土の圧力を支えます。
古来からどこにでもある石垣の風景、それをここに再現しようとしました。
この後の植栽によって、この石積みを周囲の風景に溶け込ませてゆくのですが、積んだばかりのこの石垣も、すでにこの土地の風景になじんでいるように見えます。
そして、今日は軒内の叩きも完成し、家際の外空間の骨格が少しづつ見えてきました。
叩きの土は、真砂土と赤土を配合し、土っぽさを醸し出そうと試みました。よい風合いに仕上がったと思います。
玄関に伝う石段工事も、昨日から取りかかり始めました。
石段の蹴上には、房州石と呼ばれる鋸山の切り石の古材や、銚子石と呼ばれる、九十九里海岸の切り石の古材など、この土地の風景になじみそうな石材を再生利用しています。
夕日を浴びた石垣の表情。この庭にかかり始めて2週間、この土地の風景となる石垣がようやく積みあがりました。
石垣の表情は今後の長い年月の間、この土地の歴史を刻んでゆくことでしょう。
遠い将来、例えこの家の主が変わっても、あるいはいつの日か、世代が変わって、家が建て替えられることになっても、きっとこの石垣は、いつまでも残り続けるのではないかと、私は思います。