庭・街・風景に思う

父の四十九日、新緑の雑木林の中で  平成23年4月17日

 日に日に新緑深まる中、今日は亡父の四十九日です。
父は無宗教での葬儀埋葬を望んでいたため、四十九日の法要も実家に家族のみが集まって、故人をしのびました。

 法要の後は食事会です。皆で歩いて、森の中の料亭に向かいます。田んぼの縁には雑木林が続きます。
 30年以上前、ここは私の幼少時代の遊び場でした。
 当時の美しい里山の光景が忘れられなかったがゆえに、私は今、雑木の住空間を提案し続けているといっても過言ではないと思います。。

 そして、この里山の一角に、爽やかな風情の料亭があります。この道はすでに料亭の敷地内です。周囲の里山の風情の中に、この敷地を見事に一体化しています。付近の雑木林を歩いてくると、いつの間にか敷地内に迷い込んでいたような印象があります。

 駐車場から雑木林の中のアプローチを登り、丘の上の料亭にたどり着きます。新緑を通過した優しい日差しの下、森の中の清々しい空気に包まれます。

料亭の中から見た丘の上の庭の様子。

心地よい雑木の明るい庭を子供たちが走り回ります。

 懐石料亭といっても、ここには料亭によくある格式高い重苦しい雰囲気はありません。
 さりげなく、自然で、そして周囲の風土に溶け込む、軽やかで和む空間がここに広がっています。
 こんな庭の在り方が雑木の庭の良さだと、しみじみ感じます。

 庭園内の回遊路。

駐車場へと下る道沿いの雑木林。この土地にもともとあった雑木林を活かして造られています。

 駐車場周辺の雑木林。どこまでが敷地でどこからが周囲の里山なのか、遠目には区別がつきません。
 素晴らしいロケーションを活かす人の心と感性が、このような心地よい料亭の庭空間を作り上げました。

 春の日差しに清らかな新緑、この時期は日ごと緑が深まり、躍動感あふれる感動的な季節です。
  
 

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