千葉 体験ダーチャフィールドのご紹介 平成27年8月26日
ここは千葉県千葉市、当社の里山実験研修施設、通称「土気山ダーチャ」です。
3年ほど前、千葉市内の荒れ果てた山林を取得し、少しずつ整備を進めておりました。山の中腹に山小屋が建ったのは約3か月前のこと、それ以降、ここは様々な学びや出会いの場としての活動を始めております。
今後、この山の自然環境を育みつつ、そして体験フィールドとして多くの人に、街のすぐそばでありながら、この心地よい里山の風や小鳥のさえずり、虫の音に浸っていただき、そしてここでの暮らしの体験から何かを感じていただたいと思います。
今回、土気山ダーチャの様子を少し紹介させていただきます。
建ったばかりの山小屋のデッキ。山の斜面を造成することなく、傾斜地に佇むデッキは、地面から約3m程度の高低差があります。この位置から見る木々はまた、下から見上げるのとは違って、小鳥や虫たち、木々達と同じ目線にいるがごとく、包まれた一体感があります。
梁や柱、桁などの構造材には解体民家の古材を再利用しています。建具もすべて、古民家の古材です。
採暖、煮炊きはすべて薪、だるまストーブと3台のロケットストーブがここでの暮らしの中心となります。
小屋建築にあたり、この大地を極力傷めることなく、すぐにこの土地の自然環境に溶け込ませるためにできる限りの配慮をしました。
整地せずに傾斜地をその傾斜のままで建てるため、「石場建て」という、伝統的な工法で建てます。傾斜のままに石を据えて、そしてその上に柱を建てていきます。
こうした配慮で建築工事に伴う自然環境へのインパクトを最小限にとどめ、息づく自然環境の命の源である大地の通気水脈を極力乱さないようにしております。
また、この工法のメリットは自然環境に対する優しさばかりでなく、床下土壌通気性と風通しの良さが木部の耐久性、乾湿調整の面など、人の生活環境としても、今のコンクリート基礎では決して得られない優れた機能があります。
この山小屋の材料は、木と石と土、自然界の三元素でつくられる本来の家は、全てを大地の循環の中に還してゆくことができるのです。
山小屋の脇には、大地分解還元式のバイオトイレがあります。
そしてこちらが昨年作ったバイオトイレ第一号です。
バイオトイレといっても、見た目は単に素掘りの穴があるばかりなのですが、穴底の土の通気浸透性と、地際の風通しに一工夫しております。
使い方は簡単で、使用後は左右のバケツから木炭ともみ殻をぱらぱらとまぶします。ペーパーは左わきのボックスに入れて、溜まったらこれは燃やします。
悪臭はまったくなく、イベントでの大勢での使用にも十分に対応できます。その上、糞尿は通気性のよい地面ですぐに分解されるため、くみ出す必要もほとんどありません。そして土壌通気性に配慮した環境の下で微生物はじめ土壌生物の餌となって、この山の生物環境を豊かにするための一助となるのです。
ここでの暮らしでは、有機物はすべて大地の循環の中に還してゆくことで、この土地をより豊かな環境へと育むのです。
大事なことは土壌の通気浸透性であって、これが呼吸しない土壌であれば糞尿は腐敗して悪臭を発してしまいます。
呼吸する健康な大地を育てることこそが、健全で究極のバイオトイレの浄化能力に繋がるのです。
そしてこれは、先週完成したばかりの五右衛門風呂です。
ドラム缶にお湯を沸かす、簡単なお風呂です。
五右衛門風呂の焚口も、ドラム缶で作ります。薪で炊くお湯は柔らかく、まるで温泉に浸かるような心地よさがあります。
風呂の水はすべてこの土地の土中に還すため、石鹸やシャンプーは基本的に使えませんが、薪で炊いた柔らかなお湯は、それだけで十分にすっきりと洗い落とせるように実感できます。
土壌の通気浸透性と生き物環境としての豊かさに配慮した自然栽培畑。
この山の環境改善が進むにつれて、生き物の気配がずいぶんと増してきたことを実感します。
わずかなスペースですが、このサンクチュアリに生きる生き物たちがいつの日か、周辺へと広がって地域の生き物環境の再生へと繋がってゆくことを願いつつ、いのちの営みを増やすべく、土地を育てようとしています。
知人の依頼を受けてこの週末に開催した、自然環境講座&環境改善ワークショップ。
山小屋での座学の後、山を歩きながら環境改善のための大切な視点を説明し、
そしてみんなで改善作業を体験してもらいます。
自然環境のことは、実際に触れて体感し、そしてその後の経過を観察し、発見と感動を味わうことで真の理解が深まるものだと感じています。
この日もみんな、日が暮れるのも忘れて作業をやめようとしません。そしてその表情から真剣さと充実感を感じ、ますます力がみなぎります。
自然環境の再生は、それを体感する人に大きな力と喜びを与えてもらえる営みなのだと、改めて確信します。
こうしたことを、大人にも子供にも体感してもらいたい、そうでなければ、人間も自然もますます壊れてしまうことでしょう。
毎日のように繰り返され
る最近のおぞましい事件や、争いごと、なりふり構わぬ競争の他に、別の生き方を想像することすらできない今の政治経済社会を目の当たりにするにつけて、生の自然、生の命というものを実感してもらいたい、そんな想いがますます強まります。
そして翌朝は、朝食前から自然栽培講座です。
自然栽培畑は昨年の畝立て以降、約1年経過してようやく、よい感じで雑草に覆われた菜園となりました。
この雑草と共に、この畑の生態系と地力を守り育ててゆくのです。
講師は自然栽培指導者の熊田浩生さん。その土地の多種の雑草や多様な土壌生物の楽園として畑の環境を育てつつ、その地力に見合った分け前を収穫する、土気山ダーチャの菜園の健康状態や改善方法など、熊田さんから丁寧かつ的確なアドバイスをいただきます。
お盆休みのお客さんたちと。スライドを用いた勉強会には子供たちもその場に参加しています。
この小屋ができてから、様々な方がここを訪れ、そしてそのつながりから様々なことが始まってきました。
ここでの出会いにいつも感謝しつつ、「場」というものの不思議な力を感じ、そして今後もいろいろとこの地を活用して、訪れる人の心の中に大切な何かを感じていただくことができればと思います。
昨年開催した、第一回土気山環境再生講座の様子。
その後、講座やワークショップを重ねるにつれて、この山はますますにぎやかに可能性を感じる場として育ってきていることを実感しております。
不特定の一般の来訪を受け入れられる公開施設ではございませんが、今後様々なイベント、体験学習、ワークショップ、研修施設として、様々活用していきたいと思います。
興味のある方、何かの機会にこの場を活用したいと思われる方はどうぞお問い合わせください。
また、団体等による、自然環境再生講座やワークショップ合宿等のご要望やご依頼も、相談受付しております。