海辺の記念植樹 平成24年10月20日
ここはジェフ市原のホームグランド、東京湾岸埋立地工場跡地に立地するフクダ電子アリーナです。
アリーナ周辺は臨海スポーツ公園として、千葉市によって緑化整備が進められています。
今週、この公園において、地元千葉中央ロータリークラブの寄付による記念植樹をさせていただきました。
植樹場所はアリーナ正面メイン広場、埋立地の一角に将来長きにわたって永続する大木を育てます。
2m40センチ四方の植樹プロットの配置を検討しています。
植栽土壌改良のため、固い土壌を深くまで掘り下げていきます。
ここ、アリーナ周辺は潮風が強い埋立地で、もともと川崎製鉄(現JFE)の工場跡地のため、植えられた木々はなかなか良い状態にはなりません。
「この公園は海風が強い上に土壌も悪く、何を植えてもよくならない。どうしたものか。」
千葉市都市局公園建設課職員の方からそんな相談を受けたのがきっかけで、この海岸埋立地に、数百年の大木を育てるための記念植樹をさせていただくことになりました。
こうした悪条件の下で樹木を末永く健全に育ててゆくためには、それなりの手法が必要になります。
掘ってみると、地下60センチ程度の深さで、締め固められて岩盤のようになったスラブが出てきて、その下はどこまでもそのスラブが続いています。
海辺の埋立地、しかもこんな条件の悪い地盤で普通に植栽してもよい状態にならないのは当然です。
将来長きにわたって郷土の大木をこの地に育てるためには、このスラブを破砕しなければなりません。
重機でも歯が立たず、削岩機を用いてスラブを掘り下げていきます。
苦闘の末、地下1m50センチまで、執念で掘り進めました。
埋め戻す前に、土盛りのための土留めを作ります。海岸沿いの埋め立て地で数百年の大木を育てるためには、盛土による通気性の改善が効果的です。
そして、客土埋戻しのために用意したのは、乾燥させた剪定枝6㎥(写真奥)に、剪定枝を2年間堆積してできた腐葉土5㎥(写真手前)です。
分解が進んだ腐葉土と、数年間堆積乾燥させた剪定枝をサンドイッチしながらほっこらと埋め戻していきます。
これを繰り返して、空気層を土中に作りながら盛り上げていきます。
現状の地盤高さまで埋め戻しが完了しました。
植樹していきます。
樹高4mの2本のシイノキを主木として植栽し、潮風や日照を緩和するためコナラやオオシマサクラなど、海辺に強く根の生育が早い落葉樹種を周囲に寄せ植えしていきます。
高木にスダジイ、オオシマザクラ、ヤマザクラ、コナラ。中木にユズリハ、ウバメガシ、マサキ。
そして低木にハマヒサカキ、シャリンバイ、アジサイ、クチナシ、ハイカンツバキ。
さらには、千葉の潜在自然植生樹種である、シイノキ、タブノキ、シラカシなどのポット苗を18ポットほど混植し、多層群落の小樹林がここに出現しました。
主木として植えたスダジイ2本が健全に育ってくればベストですが、ポット苗で植えた樹木の勢いが優れば、いずれそれらが追い越してゆくでしょう。
植栽後、稲わらを敷き詰めて地表を保護し、藁が風邪で舞い散ることのないように麻縄で結わえつけてきます。
多種混交の自然林のような樹木群落です。
樹木群の下に植えた、常緑広葉樹のポット苗。小さくとも、大木になる力を秘めた木々の赤ちゃんです。
未来永劫に渡って強く育ってゆく樹林つくりのためには、その土地本来の自然樹木の多種類混植し、密植して競争を促すことが大切です。
盛土高さは60センチ、そして地下150センチまで土壌改良を施しています。木々は競い合って伸長し、根を伸ばし、特にコナラなどの落葉高木は順調にいけば10年程度で深さ2mの根系に達することでしょう。
いずれ、常緑広葉樹がこの地で健全に生育している状況を確認の後、土地本来の照葉樹林に移行させるために、おそらく10年後には、少なくともコナラだけは伐採する必要が生じると思います。
それまでの間、ここに植栽した5本のコナラは常緑広葉樹を守り、根を伸ばして土壌を改善し、そして伐採後の根はゆっくりと分解されて土壌の栄養となるのです。
樹木にとってここは非常に過酷な場所ですが、ここに子孫の代に至るまで、健全に育って大木となる樹木を育てるべく、これからの緑化の在り方を問いかける試みが今、ここに始まりました。
この試み実現のために尽力された千葉市都市局公園建設課の石野さんはじめ、今回の植樹にご理解ご協力くださいました行政の関係者方々に心から御礼申し上げます。