真鶴半島の庭 2年越しの完成まであと少し 平成24年4月13日
太平洋に突き出す真鶴半島の海を見下ろすT氏邸のランドスケープが、あと少しで完成というところまでたどり着きました。
造園依頼をいただいてからすでに2年以上が経過しました。。。ずいぶんとお待たせしたものです。
本当に、、毎度のことですが、根気よく温かくお待ちくださるお客様方々に、私たちはとても救われています。。。
今もお待たせしておりますお客様、必ずご満足いただける空間を大サービスで作らせていただきますので、どうかお許しくださいませ。
崖地に立地するこの家屋、その駐車スペースは、傾斜地を下って回り込むように配置しています。
法面の植栽によって周辺の自然風景をこの駐車場にも引き込み、周辺の素晴らしい風景の中にこの敷地を溶け込ませていきます。
そして、駐車スペースからさらに下、斜面に長大な石垣を積んで回遊路を作りました。
その回遊路へと、なだらかに下りてゆく階段の道です。
最近私がよく使う赤い砂利は、家屋を解体した際に発生する瓦の廃材を粉砕したチップです。吸水性が高くてしっとりと濡れると美しく、下の土から吸い上げて含んだ湿気をゆっくりと蒸発させることで夏もコンクリートのように高温にはなりません。
成分は土なので、土壌や植物にも好影響こそあれども害は全くありません。
瓦の廃材は今、地球資源として生かされます。
回遊路と周辺の植栽の様子です。正面の大木はもともとここにあった桜です。この木を生かすように、園路を構成したのです。
そして桜の大木の傍らに、海の眺望を望む位置にベンチを設けます。
この、斜面の回遊路の起点となる階段。傾斜を生かして一つ一つ、造園的に処理してゆくことで、さりげなく景色を整えていきます。
回遊路から石積みの上に佇む家屋を樹木越しに臨みます。
家際の自然樹木が半島の風景を身近に引き込み、そして家屋をこの風景の中に心地よく溶け込ませていきます。
今は花木の開花の季節、春の花が新年度の始まりを祝福してくれるようです。
テラス際に植栽した雑木の木立。自然樹形の木立ならではの、ダイナミックな自然風景にも負けず劣らず美しく、違和感を感じさせないシルエットとなります。
昨秋に植えた木立が芽吹き、そして芝も日ごとに青さを増していきます。そこに散り桜の花びらが点々と落ちる光景に、何とも言えない熱いエネルギーをもらいます。
そして、家の上部にも庭があるのが、この家ならではの凄いところです。
2階にエントランスを設けてブリッジを渡して、この敷地の中でも一番の見晴らしを楽しめる外空間へと伝います。
この空間の最上部には展望デッキを配し、その周辺の植栽が、いよいよ最後の仕事です。
来週にはここも完成し、いよいよ引き渡しとなります。庭造りがいざ終わるとなると、いつも一抹の寂しさを感じます。
今回は特に遠方であり、危険なほどの崖地での困難な仕事でしたが、終わってみればこれもまた、楽しかった思い出の一つになります。
来週の完成引渡しです。最後まで気を抜かずに、この土地らしい最高の風景を完成させたいと思います。