庭・街・風景に思う

千葉大学 記念樹林植栽    平成24年3月16日

 

 ここは千葉大学西千葉キャンパス。ケヤキやクスノキ、マテバシイなどの大木が構内の景色を潤し、学問の府としてのキャンパスの歴史を物語ってくれているようです。
 大木の存在は、その土地に風格を感じさせてくれます。

 今日は記念樹植栽のために、この美しいキャンパスを訪れました。

 記念樹の植栽場所は、千葉大学本部庁舎脇の駐車場内緑地スペースです。ここに植栽することで、奥の木立との植栽の連続性が生まれることで、効果的にこのキャンパス風景を潤すことができる、そう考えてこの場所を提案しました。

 ところが、掘りはじめたらすぐに硬化した砕石層が出てきたのです。植栽用のスペースなのに、掘るとすぐにこうした砕石や建築廃材などが埋まっていることがよくあります。後先考えない土木業者がアスファルト道路整備工事の際に、一緒に下地の砕石を敷きならした上に硬化剤を撒いて、さらにローラーで転圧してしまうことがあるのです。
 私たちが、植栽した木々を健康に育てるためには、この砕石層を何が何でも取り除かねばなりません。
 スコップは全く歯が立たず、こつこつとバールで崩して、植え穴を掘っていきます。
 穴一つ掘るのに1時間、この日植栽予定本数は合計20本余り、、、。
 急きょ助っ人を依頼します。

 穴を掘ること2時間、午前10時。そこに助っ人の松浦造園の松浦亨氏が、削岩用のハンマドリル2台持って途中参戦です。にわかに仕事がはかどります。

 硬い地盤を穿ち、土を入れ替え一本一本木を植えて、小さな樹林を作っていきます。
真ん中の主木が高さ7mのケヤキ、それに高さ5m前後のコナラやアカシデなど、千葉の里山を構成する雑木を寄せて植えていきます。
 木を植えて、そして強く健康に育ててゆくためには、樹種にもよるのですが、広い場所に一本だけ独立して植えてゆくような方法では、なかなかよい状態の高木に成長していかないことが多いのです。だから、こうして一つの木立として植栽し、お互い守り合い、競合しあうように配植していきます。
 密植して競争を促す、これは野菜でも木でも、それに人も一緒なのです。
 若いうちは仲間と張り合い、助け合い、補い合い、競争し合ってはじめて、強く健全に成長してゆくことができる、木も人と同じです。

 数坪の植栽スペースに12種類25本の木々、単木の植栽では決して出せないボリューム感が、アスファルトの車道を潤します。

  今回依頼をいただいたのは、ちょうど半世紀前に、このキャンパスに入学された方々です。
 そして、記念樹ではなく、記念樹林とあります。
 都市緑地に新たに補植する場合、単木で植えるよりも相性の良い樹種を織り交ぜて木立として植栽する方が木々にとってはるかに健全で、そしてそれによって通る人や見る人の愉しみも大いに増すのです。

 美しいキャンパスの景色を補う記念樹林が完成です。これから長い年月をかけて、木々は成長し、様相を変えていき、そしていつの日か、成長したこの木立がきっと、未来のキャンパス風景の一角となることでしょう。
 春の芽吹きが楽しみです。

  今回の記念樹林植栽に当たり、ご理解ご協力をいただきました大学関係者の皆様、同窓会の皆様に心からの御礼を申し上げます。 

株式会社高田造園設計事務所様

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