魂の宿る民族美術品のご縁 平成23年8月21日
縁があってある品を譲り受けるため、千葉県匝瑳市を訪ねました。
築130年の茅葺民家をそのままに受けついで、私設美術館とされています。
中国武道家で風水デザイナーの謝炳鑑(シェ・ビンジェン)氏が設立し、風水画や古美術品を展示しています。
楽心風水館と言います。
楽心風水館の入口。1対の木人像が独特の雰囲気を見せています。
この木人像は、エジプトから謝さん自らが購入し、持ち込んだものでした。1本の木から掘られたものです。
トーテムポールのように部落の入り口に門番のように置かれていたものか、あるいはお墓など、聖域の守りとして彫られたものか、または、仁王像のように宗教上の守護神として彫られたものか、いろいろと連想します。
細工も美しく、力がこもり、並々ならぬ力強さと美しさと雰囲気が感じられます。
アフリカのどこかの地で、何らかの用途でこの木人像が、人々の魂を込めて彫られたのでしょう。
数奇な縁で今、千葉県匝瑳市の地にありました。きっと、これを彫ったアフリカの人は、まさか日本に行くことになるとは思っていなかったに違いありません。
謝さんとの縁があり、この木人像を私が譲り受けることになったのです。
昨日はこの運搬のために訪れました。
2体の木人像は、当社の倉庫に仮に運び込みました。
倉庫の空気を変えてしまうほどの力を感じます。
今、この2体を私があずかるという責任を与えられた気がします。不思議な縁ですが、来るべくしてきたのでしょう。
民族の歴史、人の魂が込められたこうした作品は、縁あって私の下に来ましたが、私がこれに敬意を表し、しかるべきところに収めるまでの一時保管という気になります。時代をまたぐ美術品は、縁の繋がりの中でこうして伝えられるものなのかもしれません。
どういう由来か、分かりませんが、考えているうちに、昨年行った韓国の村のトーテムポールや木彫りの木人が思い浮かびました。
これは昨年訪れた韓国で見た、将軍標と呼ばれるトーテムポールです。朝鮮半島では、これを村落などの境界に立てて、村の守護神としてきたようです。
これも韓国の伝統的な村落の入り口などに立っていた、木彫の男女像です。これも村の守護神とされるもののようです。
朝鮮半島のこうした村の守護神としての木人は、男女それぞれを象徴的に表現しています。
村の子孫繁栄への祈願を込めたものだったのでしょう。
そして、私のところにたまたま来ることになったこのアフリカの木人像も、それぞれ優美な女性とたくましい男とを、実に美しく見事に表現されていました。
その表情は優しげで、気品に満ちています。
大変な見ごたえがある、民族美術品としても素晴らしいものに思います。
しかし、 これを彫った人や発願した人たちの想いを想像すると、これはしかるべき場所に引き継いで、生かされるべき所を探さねばなりません。
縁というものは本当に、、、どこに転がっているか分かりません。。。