庭造り

今週着工の庭 千葉県鴨川市  平成23年4月9日 

 怒涛のごとく、1週間が過ぎました。今週もいろいろなことがありました。この日記でご紹介したいこともたくさんありましたが、ゆっくりとブログを書く時間をつくることができずに、時は過ぎ去っていきます。

 今週は、房総の南端、鴨川市の造園工事が始まりました。
 依頼を頂いてから1年ほどお待たせしての着工となりました。

 のどかで美しい房総の暮らしの風景が今も残る鴨川の山村。この地に、今回のお施主のTさんご夫妻が数年前に移住されました。
 
 ここには故藤本敏夫氏や歌手の加藤登紀子さん方々によって、自然共生型の楽しい生活を実践することを趣旨とした鴨川自然王国が築かれ、そして今も連綿と営まれています。
 故藤本氏や加藤登紀子さんの人柄や考え方に賛同した多くの方々が、都会での生活に見切りをつけて、この自然豊かな鴨川の山麓に次々と移住されています。
 自然と共生する暮らしを目指す移住者の中には著名な方も多く、お施主のTさんもその一人です。

 のどかな山麓に一本のコンクリートの道。この道沿いに石垣を築くべく、造成に取り掛かりました。
 これから作る石垣は、この素晴らしい風土に違和感なく溶け込むものでなければなりません。その石垣の上部は雑木林の林縁の植生を再現して、土地本来の自然風景の中に家屋を溶け込ませてゆく、それがここでの私たちの仕事です。

 Tさんの敷地内、家屋のすぐ脇には、エノキとケヤキの巨木の森が接しています。
 もともとは江戸時代以前から続いた棚田であったこの地が、近年に耕作放棄された後、鬱蒼とした森になりました。
 そして、その森を整備し、心地よい巨木の疎生林をつくり上げたのは、お施主のTさん自らの手によるものでした。

 周辺の心地よい雰囲気を家屋周辺にまで引き込んでゆくべく、住まいの風景を繋いでいきます。こうした仕事に失敗は許されません。

 お施主ご夫妻のこの土地に対する深い想い、そしてこの素晴らしい風土と年月を経て今も続く人の営み、こうしたことに最大限の敬意を表しながら、私たちはこの土地をいじらせていただくのです。

 
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