庭・街・風景に思う

蔵つくりの街、川越にて  平成22年11月25日

 昨日、造園設計の打ち合わせのため、埼玉県川越市を訪れました。

 町並み自体が蔵つくり博物館のようなこの街の一角に、築80年の洋館があります。昭和4年に建てられたもので、川越市の都市景観重要建築物に指定されています。
 ここは来年から、和食器のギャラリーとしてオープンする予定で、その庭園整備のための打ち合わせのために訪れました。
 素晴らしい建物にそして依頼主が収蔵するとても味わいのある和食器の数々。この街やこの建物にふさわしい庭園整備計画を考えているとわくわくし、病気で寝込んでなんかいられなくなります。
 この洋館は、和食器のギャラリーとして新たな命を吹き込まれて、そして川越市に新たな歴史を刻み始めます。まだ、計画段階ですので気の早い紹介はこの辺にしておきます。

川越と言えば、蔵つくりの町並みです。この街の蔵つくりを決定的に特徴付けているのは何と言っても巨大な鬼瓦飾りでしょう。

 分厚い土壁の蔵つくりの屋根に、圧倒的な重量感を加えているのが、瓦屋根の棟部分の収まりです。

 鬼瓦の背面に、漆喰などで盛られた部分はかげ盛と呼ばれます。箱棟と言われる大きな棟とのバランス上、こうした巨大な収まりとされるようになったようです。
 箱棟に見合う大きさの鬼瓦を作って乗せるとなると、それは巨大すぎて大変なことでしょう。
そこで、普通サイズの鬼がわらの背面を塗り込んで飾りを作ることで、見た目の整合性と作業性の両立が図られたようです。

 それにしても、いろいろなかげ盛の意匠があります。これはまるで龍のひげのようです。
また、漆喰を塗り込んでつくられた部分が箱棟です。これもまた意匠は様々で、見飽きません。
粋な職人のなせる技がこうして街の特徴を作りだしているようです。

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