貝殻亭リゾートを訪ねて 平成22年9月5日
日曜日の今日は、毎週恒例の造園設計打ち合わせの日です。
今日は歴史ある城下町、千葉県佐倉市の旧家を訪ねました。ここでこれから、古民家再生と風土の森の再生プロジェクトが始まります。
向こう2年間に渡る、当社にとって大型プロジェクトになります。ゆっくり進めていきますが、プロジェクトの進行の様子はこのブログで紹介してまいります。
打ち合わせ前の時間を使って、現場近くのフランス料理店、貝殻亭リゾートの屋外空間を見学させていただきました。
大通りに面した貝殻亭のエントランスです。圧倒的な緑がこの店を別空間に作り上げています。
貝殻亭の外周屋外空間は非常に限られたスペースであるにもかかわらず、効果的な樹木によって壁面が木陰となります。緑越しにみるお店の風景は、この街角を潤し、おしゃれで楽しげな雰囲気を作り上げていました。
そしてここも貝殻亭リゾートの中、洋菓子のお店です。2階はカフェになります。
カフェの窓をケヤキなどの清らかな枝葉が覆い、2階のカフェにいると、窓越しに揺れる麗しい枝葉が美しい木漏れ日のダンスとなって、訪れる人の心を安らげてくれるようです。
そしてお店のエントランスも壁面も、樹木の木陰となって涼しげな気配をもたらしています。
そしてここもリゾート内のカフェバーのエントランスです。道路に面した狭い空間ながら、大きな柿の木が夏の日差しを遮って、明暗豊かな潤い空間を見せています。
ツル棚の下の駐輪スペース。
街角のこの貝殻亭リゾートは、写真左側の自然公園に隣接しております。そして、車道と歩道部分の境界に残された樹木は、なんと杉の木立です。歩道拡幅の以前から元々あった杉の木立が大切に残されて、そして隣接する車道や歩道に豊かな木陰を作っていました。
元々その地で育った大木の環境改善効果は絶大なもので、それらを伐ってしまえば、その街角の環境財産を失うことに等しいものです。
道路拡幅などの際、周囲が放置された杉林の場合、拡幅に抵触する部分の杉の木々は当たり前のように伐採され、そしてその後に小さな街路樹が新たに植栽されます。そんなことの繰り返しが風土の潤いも環境の豊かさも奪い去っていきます。
元々ある立派な樹木をその後の街つくりに上手に活かせば、街はもっと潤い豊かで過去と現在と未来がつながる豊かな環境が残せるはずです。
拡幅の際にもあえて大切に残されたこの杉の木たちを見て、そんなことを考えさせられました。
貝殻亭、西側には、つる植物を誘引するための鍛鉄製の格子が屋根の上まで覆っています。
つる植物がこれを伝って伸びてゆき、数年後には建物がすべて緑で覆われることでしょう。
今後、地球はますます暑くなることでしょう。熱射病も今や社会問題となりました。
こうした温暖化やヒートアイランド現象に対して、エアコンは恒久的な対応策と言えるでしょうか。
エアコンを使うことで街はさらに熱くなり、住みにくくなります。
また直射日光を蓄熱するアスファルトやコンクリートが、夜になってもなお蓄えた熱を放射し、気温が下がらないという悪循環が今の街の現状です。
いつまでもこれでよいはずはありません。
環境を改善する緑の力を活かした街つくり、温故知新の知恵に学ぶことこそ、今後の温暖化の中で考え直さねばならないターニングポイントではないかと思います。