東京都武蔵野市 茶席の庭 平成23年7月2日
今日は東京都武蔵野市内の雑木の庭を2件ほど、手入れにうかがいました。
猛暑の都会にありながら、雑木の庭には随所に木陰があり、、手入れもしやすく、楽しみながら仕事も進みます。
成長する木々と住空間とを共存させてゆくためには、毎年の手入れは不可欠です。
必要な手入れのコストがかかり過ぎるようなら、それは一般的ではないでしょう。私の造る雑木の庭は、手入れの労力やコストがかかりすぎないような造り方をしています。
100坪程度の緑豊富な雑木の庭でも、私たちは数人で1日に2件も3件も、質の高い手入れを施して廻ることができます。
より多くの人に、木々とともにある豊かな暮らしを味わっていただきたい、そんな思いから、なるべく手入れの手間やコストがかからない庭を、自然の性質を活用しながら造るのです。
ここは武蔵野市、S先生の住まい件茶室の庭です。庭の竣工後、早くも3年目となりました。
手入れ後の庭に木漏れ日が降り注ぎ、風が抜けてとても心地よい雰囲気が五感に伝わってきます。
玄関園路側から樹木越しに広間の茶席を望む。
縁台から見た庭の様子。密集した住宅地の中の狭い庭スペースでありながら、木々の造る空間は落ち着きと潤いに溢れています。
腰かけとなる縁台から蹲踞を通り、にじり口に向かう路地の伝い。
写真右側、藤棚の下に露地口(にじり口)があります。奥庭への伝いのアイストップには、大振りの燈籠によって景を引き締めています。
にじり口周辺からの、蹲踞見返りの景。
この庭を訪ねる度、一緒にこの庭を造った私の友人、故中山有子さんのことを思い出します。
風景は人の心象を刻みこんで年月とともに育ってゆくもののようです。
私が死ぬ時まで、この庭は私自身の手で管理し続けたいと思います。