新興住宅地の庭づくり 植栽に想う 平成26年2月1日
茨城県つくばみらい市の庭づくり、木々が充実してくるにつれて、何もなかった庭が生き生きとした森の様相に変貌していきます。
デッキ周りの樹木植栽が終わると、住まいは生き生きとした木々に包まれて生まれ変わります。差し込む冬の日差しに枝影が揺れて、デッキや家屋の壁面に映る優しげな明暗が住まいの表情を穏やかに温かく、とても豊かなものへと変えてゆくのです。
ここ数日の植栽によって住まいの表情は一変しました。住環境を変えてしまうほどの木々の力、植栽の効果は何物にも代えられないと、その場所に庭を作る度に実感します。
木々に守られて暮らす豊かさ、ありがたさを知る人は、木々なしではとても暮らしていけないと悟ります。
つくばエキスプレス沿線の大規模開発によって、ここに新たなベットタウンが突如出現しました。
「田舎に行けば大抵、文明はなくても文化はあって、なにかしら楽しめるものだが、この街には文明もなければ文化もない。」
ちょうど今、この街に住み込みで仕事している同業仲間がそう言いました。
これまでの地域の伝統や文化、自然環境との共生の暮らし方も、すべて一網打尽にはぎ取りながら、つぎつぎと生まれるこうした大規模なベッドタウン。そこにかつての歴史文化の忘れ形見のような樹叢が一つ。
不動様の石碑の周辺に残る、この見事な木々が、かつてのこの地の人々の息吹と暮らしを感じさせてくれています。
お不動様を守り、お不動様に守られる木々。そして、この地に代々暮らしてきた人たちを守り続けたお不動様。
今、この地に新たに住み始めた方々にもぜひとも、一度は壊してしまった地域の歴史文化に思いを馳せて、この地に新たな命を再生させてほしいと願わずにはいられません。
この土地に新たに生まれる小さな自然。それがUさんの庭です。年月と共に庭の木々が育ち、ほんの少しでも、この殺風景なベットタウンに潤いを提供できればとの願いを込めて、木々を植えます。
今の経済を牽引する車輪の一つが住宅開発なのでしょうが、それはおおよそ、代々受け継がれ大切に育まれてきた豊かな自然環境、自然と共存してきた農山村の暮らし方の犠牲のもとに成り立っています。
長年、この地の永代の人の営みを支えてきた豊かな大地は、一時の経済と引き換えに、次々と壊されていきます。そしてこうして壊された土地は、未来の命を育む大地の力を失います。
そういう私自身、将来の豊かさや美しい日本の犠牲のもとに成り立つ今の日本の経済社会にどっぷりつかって暮らしており、そこから離れて生きてはいけない矛盾を抱えながら、未来の世代、子供たちに対して後ろめたさを感じて生きています。
せめてもの罪滅ぼしの想いで庭に自然を呼び戻そうとし、そしてそこに暮らすお施主家族に木々と共に生きる豊かさ、木々のありがたさを感じてもらうこと、さらには街にまで潤いを分け与えることができれば、そんな想いで、理解あるお客様の庭にこうして木々を植え続けているのです。