身近な自然に 平成24年4月3日
地元の畑の真ん中で、紅白の梅が盛りを過ぎて、4月になってようやく散り始めました。今年ほど梅の開花が遅かった年が私の知る限りあったかどうか、思い浮かびません。
しかし、畑の中に紅白の梅を植えてそこに資材を置いて農作業の憩いの場とした地主の心に思いを馳せて、まるで春の陽気のように心温まります。
早春の野に咲くオオイヌノフグリの小さな花。青の点々が野に輝く頃、春の訪れにいつも胸が躍ります。
地元八幡神社の鎮守の森では、ヤブツバキの花が深い森の緑の中に点々と見られます。
ヤブツバキ、それは東北沿岸部以南日本の全域の自然林に見られる暖温帯気候地域の代表的な樹種です。
私は雑木の庭の中木として必ずと言ってよいほどこの木を用います。それが、私たちの住む気候風土にとってごく自然な木だからです。
都会では、ツバキにはチャドクガが湧くからと言って敬遠する人も多いのですが、私の作る雑木の庭では、チャドクガはめったに大発生はしません。もちろん、消毒という名の毒物散布も今はしませんが、それでもあまり害虫が大量発生することはないのです。
森の中の健康なツバキにはチャドクガは発生しないのと同様に、周囲の木々との共存関係を考慮した健全な生育条件を作っていけば、一部の害虫の大量発生などほぼ防ぐことができるのです。
都会の劣悪で不自然な環境、または生態系のバランスを考えずに植栽する庭師の不勉強が、こうした害虫の大量発生を招いてしまってきたのでしょう。
これからはそれではいけません。
日本の大半の地域で数千年という長い年月を健全に生きてきたヤブツバキが害虫の大量発生を受けるという都会の庭の環境というものに根本的な問題があることに気づかねばなりません。
そしてここは、地元の富田都市農業交流センター主催の農業体験農場です。週末農業を志して100人以上の参加者がここで週末農業に励んでいるのです。
先の日曜日は里芋の植え付けです。地元農家の指導の下、みんな熱心に作業に挑みます。
こうした企画に募集人数を大幅に超える人たちが集まることに、時代の変化を感じます。
高度経済成長を終え、バブル後の20年を経て、そして311後の日本、美しい命、美しい暮らしに回帰し、新たな文明を築くべく、今、多くの人が失った大事なものを取り戻そうとしているように感じます。
これは我が家の落ち葉ストックです。わずか半坪のストックスペースで、200坪の敷地の庭の刈り草や落ち葉をすべて処理しています。野菜くずや生ごみも一緒にここで大方処理します。
先日切り返したところ、1年間ですでに半分が肥沃な腐葉土と化していました。写真左半分が腐葉土と化した落ち葉です。
そして、腐葉土は写真右の10坪菜園に漉き込み耕すのです。これを毎年繰り返しているうちに、畑の土は徐々に良くなってきました。
土を育てる、このうれしさや充実感は、何とも言えません。
そしてここは、地元の市民団体によって良好な里山として管理されている、杉とカシの人工林です。
杉と一緒に植えられたカシは、競争しながらまっすぐに育ちます。枝葉を広げる公園や庭のカシばかり見慣れた目には、これがカシとは思えぬほどの素晴らしさ。
木は一人で生きているわけではなく、周囲の環境の中で適応し、競争し、生き抜いてきたのでしょう。
業種問わず、今、私たちはこの文明を発展させないといけない、そう感じて生きている人がたくさんいると思います。
かけがえのない命に鑑みて、将来に誇れる生き方や社会を築いていけるよう、ほんの少しずつでも軌道修正していかねばなりません。