庭造り

ギャラリーうつわノートの庭  平成23年4月23日

 雨天で現場作業が中止になったため、今日は埼玉県川越市、ギャラリーうつわノートのオープニングイベントにうかがいました。

 先のブログでもご紹介しました通り、昭和3年に建てられたこの洋館は、川越市の都市景観重要建築物に指定されました。
 建屋際のモミジの巨木が歴史の重みを感じさせます。

 昔からあった巨木を活かして、庭を整備したのは2カ月前のことでした。庭の竣工はひと月前のことです。
 歴史あるこの洋館の雰囲気を変えることなく、ギャラリーの庭として使いやすいように、庭の構成をリニューアルしたのです。
 竣工後わずかひと月余りの庭ですが、すでに古き良き昭和初期の洋館の雰囲気に溶け込んでいるようです。

 桜の巨木の下に新設した枕木テラスへ伝う石畳は、樹木のトンネルを抜けていきます。
 石畳の石は全て、この庭にもともとあった小石を再生利用しています。

 石畳の途中から、ギャラリーを振り返ります。

 枕木テラスからの見返りの景。造園工事終了後わずか1カ月目とは思えないほどの落ち着いた表情を見せています。

 和洋折衷の洋館のメインギャラリーは主庭に面したこの和室です。美しい障子襖や広縁、そしてガラス格子戸が庭の景を美しく室内に取り込んでいます。
 

広縁から庭を望みます。思わず外に出たくなるような、自然な庭の表情は完全にこの洋館の雰囲気になじみ、ギャラリーとしての風景を歴史に刻み始めました。
 とてもよい改修工事ができたと思います。

 この庭の設計は私こと高田造園設計事務所ですが、実際の施工はほぼすべて、東京都武蔵村山市の谷口庭苑代表、谷口さんの手によって整備されました。
 よい庭は、机上の設計だけでは決して完成しません。実際に地下足袋をはいて現場に立ち、精魂込めてつくり上げてゆく人の技量と感性と精神性が、その庭の善し悪しを決定します。
 今回は素晴らしい施工者のおかげで、本当に良い整備がなされたと思います。

 また、このような歴史ある土地と貴重な建物の修景整備を一任下さいました、ギャラリーうつわノート店主、松本様に心より御礼申し上げます。

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