取り組み内容
環境再生型の造園設計施工
現代の庭やランドスケープにおいては、見た目の景観作りを主眼にされることがいまだ多く、見えない土中の環境から豊かに育もうとする視点や発想は残念ながらなかなか見られません。
しかし、本来の庭の目的は降った雨が速やかに大地に浸みこみ、木々や土中の生きものたちの生息環境を育むことで土地を育て、それによって安全で豊かな住まいの環境に導くこともまた、庭つくりの大切な目的であったのです。
木を植えるにしても風土の環境となる力強い樹種を取り込み、木々の根が地中深く伸びて土地を安定させ、豪雨でも水が速やかに浸透し、結果として大地震の際にも液状化を起こさない環境、大雨でも洪水となりにくい環境が作られてきました。
土地を育むために、池を掘り、溝を掘って橋をかけ、歩行によって大地を傷めぬように飛び石を据え、生きものみんなの場所として慈しみをもって向き合い、整える、その技術の名残は今に残る日本庭園の中に随所にみられるのです。
高田造園では、そのような本来の庭のあり方を探求し、土地を傷めず、さらには環境を改善することを目的に、その地域の風土とそこに住む人々の暮らしに合った庭を提案しております。
自然環境の
改善計画立案・設計・施工
日本人の暮らしの中では庭や畑だけで暮らしは完結するものではなく、集落総有のいのちの源としての裏山、水源、堀や川があり、その整備はかつては集落みんなの結いの作業で行ってきました。
環境の整え方は人や暮らしの違い、風土環境の違いに応じて磨かれ、同時に地域間の影響を受けあいながら、地域によって少しずつ異なるものとなり、それが地域らしさと多様性を育んできました。
しかし、明治以降の近代化と戦後の暮らしの変化の中で、その技術は途絶え、結果として裏山が荒れ、水源が枯れ、そして川からは魚が消え、崩れやすい崖や雨のたびに増水して濁流となる危険な川ばかり増やしてしまいました。
自然環境の荒廃の真因がどこにあり、なにをしたらよいか、その改善計画立案し、そして地域の方々とともに整えてゆく、その道筋をつけるべく提案、実践しております。
被災地の復旧計画の
計画立案・設計・施工
毎年のように日本各地で大きな災害が繰り返され、その甚大な被害と共に私たちの記憶を塗り替えています。今年(2024年)もまた、元旦早々に能登半島を襲った大地震もまた、私たちに生き方暮らし方、土地との向き合い方の根本を問いかけるようです。
高田造園では正月以降、被災地支援を続け、そして再び液状化を起こすことのない復旧技術を提唱し、現地にて施工支援を続けてきました。
年々大きくなる災害の原因には温暖化を伴う気候変動などが挙げられますが、実際には環境の荒廃、あるいはインフラ構造物や人為的な土地改変によって土地が傷んでいることが大きな被害に繋がるケースが非常に多くある、被災地に通い災害の原因調査と対策立案を重ねる中で、そのことに強く気づかされます。
さらに残念なことに、現代の一般的な災害復旧工事によって、その土地の風土はますます傷つけられ、豊かさを奪われてしまっているのが現実です。
かつてであれば、人は災害から謙虚に学びなおし、行き過ぎた土地の扱い方を反省し、自然の摂理を受け入れ、より安全で持続する環境へとつなげていったのです。
災害は常に、それまでの暮らしや地域の営みもまたリセットされていき、そこから新たな地域の営みを再生してきた、そんな歴史をこれまでどの地域も幾度も繰り返し、住み繋いできました。
災害という試練の時こそ、私たちは土地との向き合い方を見直し、それを教訓として未来により良くつないでゆく、その在り方と技術を示してゆくことは、その後もまたどこかで繰り返される災害の復旧においても貴重な一歩となることでしょう。
高田造園はこの日本人が養ってきた古来の技術を掘り起こし、健康な安全で豊かな環境を取り戻すことで、災害の起きにくい環境を作っていくという視点で復旧の工法提案、施工を承っております。
環境作りの中での
資源回収・リサイクル
かつての庭作りにおいて、日常の暮らしの中で発生する古材廃材は廃棄されることなく、すべては土に還されて大地の栄養となり、無機物もまたその環境整備の資材として大切に利用されてきました。
例えば、茅葺屋根の吹き替えにおいては古い萱は畑の肥料となり、瓦屋根の葺き替えで発生する古瓦は盛土に層状に挟み込み通気性透水性改善のための資材として用いられるなど、すべてが土地を育む資材として大地に還されてきたのでした。また、山の整備で発生した枝葉はしがらを組んで土地の地形の安定に、土地をいじる中で出てきた石は石垣に使われてきました。かつては、地域にあるもの、出たものを余すところなく用いることで、地域の暮らしや土地柄に応じた美しい故郷の風土を育ててきたのでした。
高田造園では家屋の解体などで出たブロック片、コンクリート片やアスファルト片や古瓦などの無機物の他、剪定枝や落ち葉を回収し、それらを資材として活用しています。
今後、こうした環境再生資材としての再利用促進と普及を目指し、環境意識の高い心ある産業廃棄物処理業者と連携しつつ、取り組んでいきます。
どんぐりから始まる森づくり
私たちは、どんぐりを実生から育てる苗木を作っています。
大きな森の大木も始まりは小さな一粒のどんぐりでした。
森の中で落ちたどんぐりは、豊かな森の環境の中で守られながら、小さな芽を出し何年も何年もかけて、大木となり森の環境を守る木に育っていきました。
こうした循環が自然の中では何代もにわたって繰り返されてきました。
私たちが目指すのはこのような次世代の森を担える苗木づくりです。
森の環境に近い状態で芽吹かせます。どんぐりを守るのは落ち葉や落ち葉が堆積して自然とできた腐葉土です。その中で育ったどんぐりの苗木は、森に近い環境を作ったうえで植樹をすることで、はじめは小さくても数年後数十年後にはしっかりとした森をつくる木に育つのです。
私たちの苗木は、主に広葉樹の高木樹種であるコナラやクヌギ、カシなど。
これらの樹々は、土の中でもその根を深く広く張り巡らせ、土の中に空気と水をいきわたらせます。それによって土の中の循環が豊かになり、水を吸い上げ空気を吸い上げ、外の環境もまた循環させてくれるのです。
小さな苗木から始める、ということは、子ども達でも扱えるという事です。
大きな機械がなくても、大きな力がなくても、一人一人の手から森づくりを始めることができます。
一人一人が小さな森を持てば、やがてそれらがつながって大きな森が見えてくる。
そんな森づくりを始めます。
大きな森の次世代の苗木としても、この苗木たちは生きてきます。
環境改善の現場での植樹や、大規模環境工事での植樹にも対応いたします。